き、屋根の下地材を受けている垂木という部材が建物に十分に緊結されていなかったり、正しい施工基準に基づいた屋根材の施工がなされていないことがあります。また元々、屋根の下地材(野地板)が腐朽していて釘の保持力が低下しているということもあります。築年数の古い一戸建て住宅で損傷しやすいのが屋根です。屋根が強風で吹き飛ばされ、損傷部分をブルーシートで覆っている光景を何度もテレビで見たことがあると思います。そのため「屋根瓦=風害に弱い」というイメージが強いかもしれません。瓦はきちんと固定してないと強風で飛びやすく、吹き飛ばされると周辺の建物を傷つける2次被害も発生します。
屋根対策 1、雨漏り
屋根の上は、目が届きづらい場所なので、排水口が詰まって雨漏りするケースも非常に多いです。様々な屋根がある中で、寄棟屋根、切妻屋根は、雨漏りのリスクが低い構造をしています。寄棟屋根は、頂点から4方向に傾斜する屋根です。様々な建物に対応できる形状となっています。また切妻屋根は、その形状の関係上、室内の構造が三角になります。古くからある屋根の形状で、伊勢神宮や出雲大社などの建物の屋根もこの形状で作られています。いずれも傾斜が幾方向にあり、雨が分散して流れるため、雨漏りしにくい構造になっています。
屋根対策 2、屋根が飛ばされないために
屋根が強風でも飛ばされないためには、垂木をしっかりと建物の構造体に緊結し、下地材が腐らないように計画し、正しい施工手順で屋根を葺くことで実現していきます。屋根材は、どんな屋根材でも、その屋根材に合った正しい施工をしていれば、そう簡単に被害にあうことはありません。ただ、職人さんの経験不足からくる施工知識の乏しさや手抜きなど施工にあたる職人さんの技量がとわれます。
また屋根の下地材の状態は外から見えないことが厄介です。仮に相当傷んでいても、屋根の上をよく歩いて見ない限り、下地材の腐朽を疑うことは難しいです。しかしながら下地材が腐朽していると、たとえ正しい施工で屋根材が葺かれていても、釘やビスの保持力がなくなり台風などの強風で屋根材が飛ばされてしまうのです。屋根の下地材が腐朽してしまう理由には、直接的な雨漏りによる腐朽と通気不足による結露からくる腐朽という2つ原因があります。
直接的な雨漏りによる下地の腐朽を防ぐ方法
屋根の大きな役割である防水については、屋根の仕上材と防水紙の2つが担っています。屋根材の裏にもし雨水が回り込んでも、下地の上に貼ってある防水が最後の砦となって雨漏りを防ぎます。ですから、「防水紙」が非常に重要な役割を担っているのです。雨水がこの防水紙を突破し下地材に到達すると、雨漏りしてしまうだけでなく急速に腐り始め、屋根の仕上げ材の固定も弱くなり台風で被害を受けてしまうことになります。屋根の勾配や工法によって性能とコストのバランスをよく考えて最適解の防水紙を選択したいものです。
通気不足による結露からくる腐朽を防ぐ方法
屋根の裏側(下側)には小屋裏と呼ばれる空間があります。通常デッドスペースになっていて、普段目にすることがない空間ですが、建物で一番高い部分の空間なので、常に温度が高く湿度も高い空間です。季節によって結露し下地材を腐らせますので、十分通気させることで結露を防ぐ必要があります。建物完成後、数ヶ月で結露により下地材が腐ってしまった例は多々あります。この対策は、建物の設計・施工の問題ですので、設計の段階でしっかりと計画することが大大切です。
構造金物
屋根の仕上材だけでなく、屋根の下地材も飛ばされてしまいます。強風時には、屋根面に非常に強い風圧がかかりますので、その力に耐えうる構造でなければなりません。屋根の下地材を留めている垂木という部材がありますが、この垂木が建物としっかり緊結されていることが必要です。緊結には、通常「ひねり金物」や「くら金物」、最近では「タルキック」等という金物が使われます。構造金物の中では非常に地味な金物ですが、しっかりとした施工管理が必要です。
近年では、耐風性能が高い留め付け方の瓦などの屋根葺き材など開発されており、これらの商品を使うことで風によって家が損傷することを防ぐことが可能です。また95年の阪神大震災を機に2001年にガイドライン工法を策定され、それ以降に固定された瓦屋根であれば、安心です。瓦自体は耐久性に優れ、断熱性も高い屋根材なので、瓦全般を避ける必要はありません。