家を建てると、アトピーによい?

はじめに

家を建てることは、様々な面でいい効果を生み出します。住まいが新しくなるということは、精神的にも肉体的にもプラスに作用することが多く、住環境がそれだけ、私たちの生活や人生にとって、とても重要なファクターであることがわかります。その中でも、具体的に最もわかりやすく示してくれるのが、健康面の改善です。特に、アトピーなどのアレルギーの症状が改善された、あるいは治ったという声を多くのお客様から聞きます。そこで、今回は、家を建てるとアトピーが治ることについて、解説したいと思います。


アトピーとは

アトピーとは、正式な病名を、アトピー性皮膚炎といいます。痒みが強い、長く続く湿疹です。よくなったり悪くなったりを繰り返し、慢性化しやすい病気です。

アトピー性皮膚炎の多くは乳幼児に発症します。生まれて間もない赤ちゃんはなりにくく、乳児のほとんどは生後2から3ヶ月あたりからポツポツと発疹の症状が出てきます。患者の8割は5歳までに発症しますが、最近では20代や30代になって発症したり、悪化したりするケースも増えています。

病気になる主な理由は、大きく分けて2つの要因が挙げられます。ひとつは、患者のほとんどがアトピー素因と呼ばれる体質を持っています。アトピー素因とは、両親や家族がアレルギー疾患にかかったことがあるかどうかということで、遺伝的な要因といえます。2つ目が、環境による要因です。なんらかの刺激によって、肌のバリア機能障害やアレルギー炎症反応して発症します。人によって様々ですが、この「遺伝要因」と「環境要因」が発症と悪化の原因であることがわかっています。アトピー素因(=体質)を排除することは難しいですが、環境要因(例えば、ダニやハウスダスト、化学物質など)は、対策や生活習慣や環境の見直しによって、改善することができます。それは、この病気が治療によることだけでなく、環境改善などによって、治るという事実があるからです。

厚生労働省によると、2008年から2017年の10年間でアトピー性皮膚炎の患者数は34.9万人から51.3万人と16.4万人増加しています。近年は特に増加しており、20〜30歳の若い世代では、95%の人が何らかのアレルギーに発症の可能性がある状態にあるとされています。これほどまでにアレルギーが急増した原因として、難しい言葉で「衛生仮説」という学説があります。きれいになりすぎたのが原因と考える説です。人間を含めすべての生き物には、外から体に侵入する細菌や異物から自分を守る免疫というシステムが備わっています。手が傷ついたときに血が出て、傷口を自然と固まるのも、全て免疫の働きのおかげです。人間は、高度に進化した免疫システムを持っています。アレルギーのスイッチはこの免疫機能のバランスの違いによって作り出されます。人間はかつて、結核などの感染症と絶えず戦っていました。赤ちゃんは不衛生な環境に生まれ、ばい菌や毒素の中に育ってきました。そうすると免疫システムは、ばい菌と戦うために必要な免疫抗体を作るのに忙しくアレルギーの抗体を作る余裕はありませんでした。ところが人類がここ100年間で築いた環境は、昔とは大きく変わりました。工業が発達し、街も人も清潔になりました。感染症を抑える抗生物質もでき、免疫は感染症のために働く必要が減ってきました。そうした環境の変化を背景に、免疫システムのバランスが変わり抗体を作りやすくなっていることがアレルギー増加と深く関わっていると考えられます。実際、アトピー性皮膚炎は先進国に多く、現代病と言われている理由もそこにあります。


アトピーがよくなる住宅

私たち工務店ができることは、環境の改善です。1日の大半を過ごす家の中の環境は、アレルギーの発症と悪化に大きな影響を与えることになります。しかし、ダニやハウスダスト、化学物質は目に見えない分、実感が少なく対策しづらいのが現実です。家を建てること、建て替える際に、どうしても、間取りや内装などに目が行きがちですが(こちらも大事ではありますが)同時に住まいの目に見えてないアレルギーなどの対策についても意識して行うことが必要になります。


1、「化学物質」対策には自然素材

 

空気中や食品に含まれる「化学物質」があります。これらは、アトピー患者にとって悪影響を与えます。建材や家具に使われるホルムアルデヒドやトルエンなどは代表的な化学物質で、空気中に存在し、呼吸により定常的に体内に取り込まれています。厚生労働省の指定している揮発性有機化合物(VOC)は14の物質がありますが、聞き慣れない名称もありますが、ほとんどが私たちの普段の生活の中にあふれています。

 

これらの化学物質を排除する目的に大きく寄与してくれるのが自然素材の住宅です。自然素材を使った住宅はアレルギーとなる化学物質を使用していない、使用が抑えられているため、空気中に放出される有害物質が少なくなります。

空気中の化学物質で最も影響が出やすく、建材や接着剤など住宅を構成するあらゆる部門で使われているホルムアルデヒドがあります。厚生労働省の屋内濃度指針値(2019年)である0.08ppmは、過敏な人でなくても臭いを感じる程度といわれています。触れない、吸わないためには家主自身がホルムアルデヒドを使っている建材を意識的に遠ざける必要があります。木材は化学物質を吸着・除去する効果を持つ自然素材を使用することが望ましいです。


2、ダニ対策にはフローリング

アトピー性皮膚炎のもとになるチリダニがあります。日本の住宅ではダニは床面、特に畳やカーペットに多く生息しています。そのため、ダニ数を減らすには床材をフローリングにすることが最も有効かつ理想的な方法です。掃除がしやすいだけでなく、木材の持つ抗菌作用がダニの発生・繁殖を防いでくれるのです。フローリングの素材には、化学物質を多く使用する合板ではなく100%自然素材でできている無垢材をおすすめします。無垢材には、ダニの繁殖を抑制する木の成分があるため、カーペットをなくしたことによるダニ数の削減よりも、より良い効果があります。


3、乾燥対策には湿気

アトピー性皮膚炎の発症と悪化には、皮膚の乾燥も大きく関係しています。アトピー性皮膚炎患者は、室内湿度が低いと皮膚水分量の低下につながり、症状の悪化をまねくといいます。

乾燥をどう防ぐか。ここでも注目すべきは木材の「調湿効果」です。もみの木を含む針葉樹は調湿効果が高く、内装材として使用した際に湿度を50〜60%と最適に保ってくれるため、アトピー性皮膚炎対策としても最適な素材といえるでしょう。モミの木を使った結露実験では、ナラやベニヤ材に比べて高い調湿効果を証明しています。

屋内湿度が70%以上になると、ダニのエサとなるカビが繁殖しやすくなるので注意が必要です。カビ予防の観点からも発生源となる畳やカーペットは避けたい床材なので、無垢材フローリングを検討してみてください。


住環境におけるアレルギー対策

私たちが日常でできること

1、ダニ

ダニは、フンや死骸の粉がアレルギーになります。こまめな掃除洗濯が大切です。例えば、

布団はよく干して乾燥させ、干した後は掃除機をかけたり、花粉がアレルギーの場合は外に干さないようにしたりします。室内で最もダニが発生し、すみかとなりやすいカーペットはできるだけ避けるようにしましょう。ソファーも布製のものは避け、革製(または合成皮革)のものを、ぬいぐるみ、クッションは丸洗いできるものにしましょう。

2、カビ

カビは湿気が多い場所に生えます。十分に換気して、風通しを良くしましょう。具体的には、風呂場、トイレは換気を十分にし、汚れをまめに落としましょう。洗濯機は、内側にカビが生えやすいので時々掃除を行い、キッチンは、換気扇をまわし、流し三角コーナーをきれいします。エアコンはフィルターをこまめに掃除を行います。窓は、結露対策をしっかりと行い、押し入れ、タンスは時々開けてこもった湿気を外に出しましょう。

3、ペット

動物のフケや毛、分泌物などが原因になることもあります。ペットと暮らす生活をする方は特に、こまめの掃除を心がけましょう。

 

4.乾燥

スキンケアとして自分の肌にあった製品で日常的にケアを行いましょう。アトピー性皮膚炎は、バリア機能が壊れた肌からアレルギーが侵入することによって発症します。日常生活で悪化因子を避けることが大切であり、そのために、身の回りやお肌の手入れをすることが改善の基本です。

まとめ

健康に暮らすことは、誰しも望んでいることに疑いはありません。それが、ただ家に暮らすだけで脅かされてしまっていることもまた事実なのです。住宅建築に携わる私たち業者にとっても社会的な責任があります。アトピーで苦しんでいる方が、家を建てるときに、改善、完治するように、木の特性を生かした家作りを推奨していかなくてはなりません。アトピーは現代病といわれているだけあって、複雑に変化しています。ただ、治る病気であります。私たちも日々、学びながら、有益な情報を皆さまに届けていきます。アトピーが治るよりよい家作りとは何かについて、これからも取り組んでいきます。

 

シックスハウス症候群について

はじめに

今回、シックハウス症候群についてのお話をします。このシックハウス症候群という言葉が使われ始めてから、約20年以上経過しています。いまだにこの問題について明解な解決策が出されているわけではありません。つまり、依然として、この症状に悩まされている方が多数いるということです。住環境対策やリフォームを行う際に、この問題について、業者や施主様はもちろん、そして政府や医療機関、関係団体をも巻き込み、さらなる取り組みを行っていかなくてはならない積年の課題であります。こうしたことを踏まえつつ、今、そしてこれからの健康的な生活環境の確保に役立つ知識を紹介していきます。

 

シックスハウス症候群の背景

1990年代の後半、全国でシックハウス症候群が大きな問題になりました。理由の1つとして、断熱性や気密度が向上した新築(改築)住宅の建材や接着剤、塗料などから放散される濃度の高いホルムアルデヒドやトルエン、キシレンといった揮発性の有機化学物質が健康障害を起こしたためだと思われます。このため、厚生労働省からは2002年13の化学物質について「室内濃度に関する指針値」が出され、また、ホルムアルデヒドは日本工業規格などで放散量規格が定められました。それによって、主要な建材から高濃度に検出される事は少なくなりました。さらに国土交通省は2000年には住宅性能表示基準、評価方法基準を制定し、2001年には室内空気中の化学物質濃度などの測定値を表示すべきことを定め、一般住宅から検出される化学物質の濃度も低くなりました。

しかし、シックハウス症候群の原因はもともと化学物質のみならず、カビや結露等の住環境の多様な問題が絡んでいると思われます。また発生源としては建築材のみにならず、移住者が生活の上で持ち込む化学物質もあります。

シックハウス症候群とは

基本的には、室内環境汚染が原因で、建物内の多くの人が身体(目、鼻、皮膚、のど呼吸器)に何らかの症状を示すもので、その環境を変えると良くなるものと言われています。

日本では、1990年代からシックハウス症候群が問題になりましたが、欧米ではオフィスビル中心の空気室内環境問題としてシックビルディング症候群と名付けられ問題となっていました。シックハウス症候群は基本的にはシックビルディング症候群が住宅で生じたものと考えられます。シックビルディング症候群はいわゆるビル内で発症する非特異的な症状(目、鼻、喉の刺激症状、頭痛、倦怠感、皮膚刺激症状、集中困難)であり、ビルを離れると良くなり、多種の要因が重なって原因になることがあるなど、欧米と呼名に違いはありますが、基本的には、室内環境に起因する同様の症候群と考えられます。

シックビルディング症候群とシックハウス症候群

1、シックビルディング症候群の大部分はオフィスの問題として、ほとんど20から60歳代に生じますが、シックハウス症候群が早い年齢に生じます。

2、シックビルディング症候群は休日に消失することが多いですが、シックハウス症候群は住居のため毎日の問題です

3、シックビルディング症候群は職場の多くの人数に生じて、環境問題として理解しやすいです が、シックハウス症候群は少数人数の問題となり環境問題として理解しにくくなります。

シックハウス症候群の症状

目-目がかゆい、熱い、チクチクする

鼻-鼻水、鼻づまり、鼻がムズムズする

肌-顔が乾燥する、赤くなる、顔や耳がかさつく、かゆい、手が乾燥して、赤くなる

のど、呼吸器-声が掠れる、喉が乾燥する、咳が出る

精神面-とても疲れる、頭が重い、頭痛、吐き気やめまい、集中できない

主な原因と発生源

1、化学的要因

人が住む現在の住宅では、いろいろな化学物質が使用されています。建物の建設や家具製造の際に利用される接着剤や、塗料などに含まれる有機溶剤、壁や床のクロスや合板は接着剤によって貼り付けられています。また木材には昆虫やシロアリといった生物の食害から守る防腐剤が含まれています。これらの化学物質は徐々に室内に揮発し、室内は揮発性有機化合物(voc)に汚染されています。シックハウス症候群になる要因は解明されたわけではありませんが、その原因物質として室内の空気中にある揮発性化学物質が考えられています。

シックハウス症候群の主な原因物質

1ホルムアルデヒト

2エチルベンゼン

3スチレン

4クロルピリホス

5フタル酸 など

  

ホルムアルデヒドについて

ホルムアルデヒドはアルデヒドと呼ばれる化学物質の中で最も単純な構造をしている無色の刺激臭のある気体です。水によく溶ける性質を持っています。その水溶液であるホルマリンは防腐剤として有名です。ホルマリンはつけられた動物などを学校の理科室なので見たことがある方も多いでしょう。ホルムアルデヒドは新築、改築し、入居した後に持ち込むもの、移住者の生活、外気と様々な経路を通って生活空間の中に入ってきます。特に建材には安価なため広く用いられています。

 ホルムアルデヒドがフェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂といった樹脂(接着剤、塗料を含む)原料として多く使用されています。建材としては、合板、パーティクルボード、断熱材に含まれています。家具の中では、洗面化粧台、台所の収納タンスなどに使用されている合板、接着剤などから発生します。

ホルムアルデヒドに関する法的規制がかけられたことにより、近年の家屋では以前と比べて濃度は一般的に減少傾向にあります。しかし接着剤等に含まれるホルムアルデヒドは、接着剤がある限り室内に放散し続けることがあり、濃度がなかなか下がらない可能性があります。

 この対策として、厚生労働省は室内濃度指針値を設けています。そのため気中濃度は減少していますが、建てたばかりの家屋では高濃度になることがあります。室内での気中濃度を下げるために窓を開ける、24時間換気装置を使うなどして部屋の換気を十分に行いましょう。

揮発性有機化合物(voc)について

揮発性を有し、大気中で気体状となる有機化合物の総称であり、トルエン、キシレン、スチレ

ン、エチルベンゼンなど多種多様な物質が含まれます。シックハウス症候群としての室内気中曝露濃度では、皮膚、粘膜刺激症状、頭痛、倦怠感、集中困難、めまい、吐き気、嘔吐などを生じます。

 対策としてはホルムアルデヒドと同様に厚生労働省による室内濃度指針値が設けられています。建物には、クロルピリホスを添加した建材の使用が禁止されていますが、すべてのVOCを規制するのは、数も多く困難であるといえます。したがって、まずは室内での化学物質濃度を下げるために部屋の換気を十分に行うことが重要です。さらに室内に持ち込む家具製品についても、輸入品などどんな塗料を接着剤を干しているかわからないものより、できるだけ品種のわかっているものを購入するか、あるいは新居に引っ越す場合は、今まで使っていたものであればそのまま使うようにしましょう。

殺虫剤、防虫剤について

パラジクロロベンゼンはVOCに分類され、上記で示したものと同様の症状をします。クロリピリホス、ダイアジノン等の有機リン系は、皮膚、粘膜刺激症状、頭痛、倦怠感、めまい、吐き気、胸部圧迫感、軽度の運動失調などを生じます。フェノブカルプ等のカーバメート系では倦怠感、頭痛、めまい、悪心、嘔吐、腹痛等を生じます。

 居住者が自ら殺虫剤を使用する場合は、使用について認識がありますが、シロアリ駆除や畳加工がしては居住者が認識していない場合も多くあります。近年殺虫剤は、効果の持続を狙ってマイクロカプセル化されたものが多く、一旦室内散布すると、長期間、殺虫成分が残存する場合があります。

 対策として害虫駆除方法を殺虫剤によらない方法を選択する、もしくはなるべく殺虫剤散布を減らすことが必要です。また散布中や散布直後には子供が入室しないように注意をし、使用後には十分な換気が必要です。また業者に害虫駆除を委託する場合は薬剤散布の量を減らすという方法を選択することもできます。

室内で発生する化学物質の発生源

1.家屋(現在、家具、接着剤、塗料)から

アセトアルデヒド、アセトン、トリメチルベンゼン、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、ピネン等

2.家電から

アセトン、ブタノール、トルエン

3.燃焼機器、タバコから

ノナン、デカン、オクタン、アセトアルデヒド、トルエン、ベンゼン、ニコチン、ホルムアルデヒド

4.家屋(床下)から

クロルピリホス(現在は使用禁止)、フェノブカルブなどシロアリ駆除剤

5.繊維製品から

ノナン、デカン、ウンデカン

2.生物学的要因

a.真菌

気中真菌濃度は、室内中より外気中の方が高いことが多くなっています。そのため室内気中真菌の濃度も季節変動があり、春秋に高く、冬は低くなります。菌の発生しやすい環境は、高湿度、温度が20度から30度、有機物の多い汚れの存在、長期間利用のない場所、空気の流れがない、家塵が多い、結露が生じる、があげられます。

主な真菌

クラウドスポリウム(俗称はクロカビ)

アスペルギルス(俗称はコウジカビ)

ペニシリウム(俗称はアオカビ)

アルテルナリア(俗称はススカビ)

b.細菌

レジオネラ-ニューモフィラ細菌によるレジオネラ感染症が挙げられます。空調の冷却水、循環式給湯器、加湿器等の水で増殖し、症状は、全身倦怠感、筋肉痛、発熱、咳、呼吸困難、意識障害を生じます。

ダニアレルゲン

日本国内でアレルゲンとなる代表的なダニはチリダニ科ヒョウダニ属のヤケヒョウダニとコナヒョウヒダニです。霧谷下の端には温暖湿潤な気候の地域に多く分布しています。気温25度、相対湿度75%前後で最もよく繁殖し、相対湿度が50%以下になれば繁殖できなくなります。栄養分としては室内塵中の人の皮屑、真菌、食品カスを摂取します。ダニから排出される糞や死骸の破片中に含まれる成分がアレルゲンとなります。

 気管支喘息の主たるアレルゲンは家釣谷(ハウスダスト(で、症状としては、咳息切れ、呼吸困難があります。また、ハウスダストはアトピー性皮膚炎の原因にもなります。

ペットアレルギー

家家の中で飼う犬、猫、げっ歯類などがアレルゲンとなり健康に影響することがあります。家の中で飼っているペットのアレルゲンも気管支喘息やアトピー性皮膚炎の原因となります。

3.温度、湿度

a.温度

高温、低音により暑さ、寒さの不快感が生じます。建築物衛生法では、17度から28度を基準としていますか、湿度、気流、個人の着衣と活動量といった様々な要因により影響を受けるため、同一建築物内すべての人に快適な温度設定は難しいとされています。また、過度の冷房により下痢、腹痛、神経痛、腰痛、月経異常、風邪をひきやすいといった冷房病が生じることがあります。

b.湿度

30%起きると、乾燥感や眼、上気道の刺激を生じるリスクが高くなります。湿度の上昇は、気温の上昇とともに不快感を増強させます。また、湿度の上昇により結露の発生があると、カビの生じやすい環境になることや、建材がダメージを受けることによる化学物質の発生、さらにダニの生育しやすい環境となることなどにより、皮膚、粘膜刺激症状、頭痛、倦怠感、集中困難、めまい等の症状を生じる原因となります。

4.粉塵

粉塵は、広義には粉塵と粒子を含み、また固体粉塵粒子と液体融資のミストと区分されます。軽くて粉塵は、空気中に浮遊し、浮遊粉塵と言われます。

 呼吸により気道に入った粉塵、粒子は、鼻、咽、気管、気管支あるいは肺胞に拡散し、沈降し、各部位への沈着率は異なります。花粉や細菌、一般粉塵、ミストなどで粒径の比較的大きいものは、鼻、咽、あるいは気管支で捕えます。ウィルスやタバコの煙、微細なアスベストなどは、肺の末端部である肺胞に到達し、そこでの沈着率は高く、健康障害が起こします。

それでは次に、シックハウス症候群を悪化させないために、住環境の改善や住まい方の対策を考えていきたいと思います。

1. 住宅環境の改善

3つのポイント

温度、湿度計などを設置して適温を保つ

換気を行い、空気環境を良くする

冷暖房装置や排気孔などの掃除や定期点検

押さえておくべき要素

酸素

空気の人体への直接的な作用は酸素補給と体熱の放散です。酸素不足状態になると脳の血管は拡張し、血液循環をはかるなど機能が動員されますが、その限界は一般の人では酸素濃度16%位までです。これを酸素欠乏症といいます。酸素欠乏の発生しやすい場所、状態としては、換気不良で閉鎖的な空間です。化学的には金属や功績による参加、穀類の呼吸等に伴う生物学的な場合、メタンガス、不活性ガスなどによって酸素が置換された場合などです。空気中で酸素濃度が低下してくると頭痛、集中力の低下が見られ、酸素濃度16%から12%では心拍数、呼吸数の増加、耳鳴りが生じ、14%から9%では判断力の低下、全身脱力が見られ、6%以下では失神し、呼吸停止から心肺停止となります。

二酸化炭素

戸外の新鮮な空気の中の二酸化炭素濃度は、0.03から0.04%です。人に対する急性の毒性は弱く3%位までは特に症状は見られませんが、4%になると、相対的には酸素不足となり、耳鳴り頭痛などの微候はみられます。8から10%では意識混濁、痙攣を起こし、呼吸困難により死亡する危険性もあります。

 室内では二酸化炭素の主な発生源は、室内の在室者の呼吸、そして使用されている石油、ガスコンロやストーブなどの開放型燃焼器具です。近年の住宅において、開口部の窓にはサッシとペアガラスが使用されており、機密性、断熱性が高くなっています。排気装置のない部屋を閉め切り、人が在室していると、二酸化炭素濃度が0.1%以上にも達する場合があります。良好な室内の空気循環を維持するために、換気をすることを心掛けましょう。

臭気

嗅覚は、鼻腔にある感覚受容器、揮発性の化学物質が作用し刺激することによって生じ、他の感覚と同じく加齢とともに鈍くなります。また同じ臭いでも長くその場に居ますと、においに鈍化し、慣れが生じてきます。特有の臭気を有する化学物質は多く、それらのうち4000種について、人が嗅ぎ分けられるとされています。室内における臭気の発生源としては、台所での調理臭、生ゴミ臭、燃焼排気臭、トイレの臭い、タバコの臭い、体臭など様々です。臭覚はかなり個人差があります。香水などもきつすぎると他の人によっては不快感となる場合もあります。物質によって臭気が異なり、アセドアルデヒドには刺激臭、二酸化メテルは腐敗臭、アンモニア臭などがあり、それらの物質の濃度によって臭気の強さが異なります。

温度

温熱環境において、温度は室内環境での代表的な指標です。さらに温熱環境は湿度、気流、熱放射によって影響を受け、また各個人の温冷感は季節や着衣量、人々の活動によっても影響されます。建築物衛生法等での室温の基準は17度以上から28歳以下です。省エネの観点からは、

衣服を調節し、夏季にはクールビズにより室温28度、冬季にはウォームビズにより室温17度が推奨されています。

湿度

夏季の高湿環境は、蒸し暑さで不快感を高めるだけではなく、高湿性真菌やダニなどの増殖を起こしやすくなります。一方で冬季の低湿環境においては、呼吸器の粘膜を乾燥させ、気道の細菌感染予防作用を弱めます。また低温低湿環境において、インフルエンザウィルスの生存時間が伸び、インフルエンザに罹患しやすい状況になります。またアトピー性皮膚炎や気管支ぜん息などのアレルギー疾患については、低湿条件が症状を悪化させます。こうした環境と疾病との関係からも季節による適切な湿度管理が必要です。

換気状態、風量

建物、住宅の窓は、サッシが普通となり、扉、ドアも気密性が高くなっています。部屋の換気は、窓やドアの開口部、そして換気扇や換気口により行われます。しかし、外部からの騒音対策や冷暖房効率を上げる目的もあり、建物の開口部を閉めている場合が多く見られます。2003年に改正になった建築基準法では、ホルムアルデヒド発散する建材を使用しない場合でも、家具等からの発散があるため、原則として新築されるすべての建築物に換気扇などの機械換気設備を義務付けています。

 室内環境において、風量は、換気設備の性能であり、時間当たりの給気、または排気の量を意味します。24時間の換気システムの設置を義務付けても、それが充分に作動しなければ問題です。

換気システムには、機械給、排気設備の場合、空気の汚れを防ぐためにフィルターが用いられています。冷暖房装置にもフィルターがありますが、室内外の空気汚染によってフィルターは汚れ、目づまりを起こし風量が減少します。こうした換気装置の風量を測定し、装置を点検することが大切です。フィルターなどの機能不全によって、換気が不十分になっていることが、住宅でしばしば発生しています

2.住まい方

シックハウス症状へのリスクを上げるようなライフスタイル、住まい方を改めましょう。

敷物を敷く場合は、敷き詰めず、まめに掃除をしてダニやほこりを取り除く。

 現在の住まいは、ベッド、床はフローリングと洋式化されています。一方で暖房には従来からの開放型のヒーターを使用している場合も見られます。従来の木造住宅は気密性が低く自然換気により換気回数は多かったのですが、住宅の高気密化により、換気回数が確保されているか、疑問視されています。開放型ストーブの使用は必要換気量の確保が前提です。換気装置もフィルターの清掃をいないでいると、目づまりを起こし、それが換気に有効となっていない場合もあります。定期的にフィルター、換気装置を点検することが大切です。

 洋式化された室内空間、そして電気掃除機によって表面的に室内は清潔そうですが、タンスの後面、畳の下、押し入れなどは不衛生になりがちです。また年間を通じて温熱的に快適な室内環境が保たれていますとダニ、微生物にとても繁殖しやすい温室となり、定期的な清掃で、衛生的な室内環境の確保が大切です。

3.ライフスタイルとその改善

ライフスタイルと関わるシックスハウス症候群の要素として、主に、喫煙、飲酒、睡眠、スト

レスがあげられます。それらの過不足等がないか生活の見直してみましょう。

シックハウス症候群の症状は、我々の生活の中の様々な要素(物理的、化学的、生物的因子など)の関連性がありますが、喫煙、睡眠、飲酒などの種々のライフスタイルととも大きな関連があります。住まいの中におけるライフスタイルのあり方と関わりがあります。そして、シックスハウス症候群に関連するライフスタイル、住まい方を変えることで、症状の改善を図ることが出来ることも報告があります。

シックスハウス症候群の症状へのリスクを上げるライフスタイルについて、ご自身の、また、ご家族のライフスタイルを見つめ直し、ライフスタイルを良い方向に変え、症状の改善を目指してください。

まとめ

シックスハウス症候群は、建物の建材や塗料などに含まれた化学物質の放散によるもので発症するといわれています。しかし、それだけではなく、私たちの住まい方にも改善する余地があるようです。不摂生で不衛生な生活では、そのリスクを高めることを知りました。室内の清掃や換気、規則正しい生活の維持など、本当に、日常生活の当たり前のことを、当たり前のようにやり続けることが健康的な暮らしを実現できる最善の道なのです。多忙な毎日の中で、なかなか時間がなく、先延ばしにしがちですが、自分自身の健康、そして家族の幸せのためにまずは見直してみましょう。

化学物質過敏症について

はじめに

 家は癒しの場です。そこには、安全で安心な暮らしの基盤があります。たとえ、学校で嫌な事があっても、仕事で疲れたとしても家に戻れば、心身ともに回復することができる。それが住まいのあるべき理想です。

 新築住宅を建てたり、リフォームすることは、これまでより快適に暮らせるようになりたいとだれもが願います。ただ、現実問題として、そうならないケースがあります。その代表的な事例が健康の問題です。新しい家に住み始めたのに、どうも体の調子がおかしい。これまでなかったアレルギーがでるようになったとか。これはシックハウス症候群と化学物質過敏症が主な原因にあります。住まいが人間の基本的な営みである衣食住と密接に関わっているがために、病気も伴ってついてきてしまいます。住まいと病気は切っても切り離せません。ただ、住まいについて誤った知識と無知によって生じる健康障害を未然に予防したいものです。あらかじめ建築医学ともいうべき知識をできる範囲でお伝えしていきます。

まず、今回は、化学物質過敏症についてお話しします。


化学物質過敏症とは

さまざまな種類の微量化学物質に反応して苦しむ病気を化学物質過敏症(Chemical Sensitivity=CS)と言います。

人間はこれまで26,000,000種以上の化学物質を開発し、水や空気、土壌汚染してきました。その上毎年、数千種類の化学物質が新たに開発されています。私たちの生活環境にも、生体組織に悪影響を与える様々な有害化学物質があふれ、生活環境や産業で使用される化学物質は約70,000種を超えています。殺虫剤やガーデニング用の除草剤、洗濯用の合成洗剤、ワックス、タバコ、衣類用防虫剤、消臭剤など、数え上げたらきりがありません。食べ物は残留農薬や食品添加物(着色料、香料など)で汚染され、水には環境ホルモンや塩素が混入し、空気には排気ガスから発生する一酸化炭素や窒素酸化物が含まれます。しかも私たちは、これらの科学的ストレスだけでなく、パソコンや携帯電話から発生する電磁波などの物理的ストレスや、職場や学校で受ける精神的ストレス、ウィルスや花粉などの生物的ストレスにさらされているのです。体には、ストレスを受けてもそのダメージを修復して正常な活動を維持しようとするホメオスタシス(生体恒常性維持機能)があります。ホメオスタシスは、免疫系、自律神経系、内分泌系と言う3つの柱から構成されていますが、何度もダメージを受けると、これらの機能も次第に弱って、やがて十分に働かなくなります。化学物質を始め、複合的なストレス汚染にさらされ続けた結果、ストレスの送料が許容量を超えてしまうと、微量の化学物質に反応するようになると考えられています。重症になると、仕事や家事が出来ない、学校へ行けないなど、通常の生活さえ営めなくなる、極めて深刻な環境病です。


増加する化学物質

化学物質過敏症は、何かの化学物質に大量に曝露されたり、または、微量だけれども繰り返し曝露された後に、発症するとされています。化学物質への感受性は個人差が大きいため、同じ環境にいても発症する人としない人がいます。

「わが国において工業用途として届け出られるものだけでも毎年300物質程度の新たな化学物質が市場に投入されています。化学物質の開発・普及は20世紀に入って急速に進んだものであることから、人類や生態系にとって、それらの化学物質に長期間暴露されるという状況は、歴史上、初めて生じているものです」(2003年版『環境白書』より)。

その一方で、「今日、市場に出回っている化学物質のなかで、量として75%に当たるものについて、基本的な毒性テストの結果すら公開されていない」(米国NGOの環境防衛基金1997)といった現状があります。

「便利な生活」のために、化学物質を開発、利用していくことが優先され、安全性の検証は後回しにされがちです。こうした背景のもと、「環境ホルモン」「化学物質過敏症」など、従来予想できなかった新たな問題が表面化してきたのです。


潜在患者が多い現状

 化学物質過敏症の発症者数について、京都大学大学院教授らは、成人を対象に行った調査から全国で約70万人と推計しています。子どもも含めれば100万人程度になりそうです。

しかし、多数の医師はこの病気に関心を持っておらず、診療できる医師は限られています。このため、「更年期障害」「精神疾患」など、別の疾患として診断されたり、「原因不明」として放置されている潜在患者が多数いるものとみられています。 実際、明らかな体調不良にもかかわらず、医師らに「異常なし」「気のせい」などと言われ続け、「CS」と診断されるまで、医療機関を何カ所も渡り歩いた経験を持つ方は、少なくありません。

このため、「お医者様が『異常なし』とおっしゃっているのだから」と、家族からも理解してもらえない発症者が少なくありません。発症者は症状だけでなく、孤独にも苦しめられているのです。

発症者の反応を引き起こす主な化学物質など

▼発症者の90%以上に症状が出るもの

・家庭用殺虫

・殺菌

・防虫剤類

▼発症者の80%以上に症状が出るもの

・香水などの化粧関連用品類

・衣料用洗剤類

・防臭

・消臭

・芳香剤類

・タバコの煙

・シャンプーなどボディーケア用品類

・灯油などの燃料類

・ペンなど筆記用具類

・印刷物類

ほか、発症者が反応するもの

新建材・塗料から放散される化学物質、排気ガス、電磁波、においが強い天然のものなど

(個人差あり)

室内空気汚染

人はそのほとんどを室内空間で過ごします。飲食物は1日2キログラム前後の摂取であります

が、空気は20キログラム前後摂取します。しかも飲食物は肝臓と言う解毒の関門を通過しますが、空気汚染化学物質は体内へ直行します。そこに空気汚染物質の怖さがあります。従来の建築と現代と建築の違いから、室内空気が汚染する原因として、新建築材からの群発性化学物質、建物の高気密性、大気汚染等が挙げられます。

化学物質過敏症(CS)の発症原因の半数以上が、この室内空気汚染です。室内空気汚染による健康影響は、「シックビル症候群」「シックハウス症候群」とも呼ばれています。自宅や職場、学校などの新築、改修、改装で使われる建材、塗料、接着剤から放散される、ホルムアルデヒド、揮発性有機化合物(VOC)などが、室内空気を汚染するのです。建築物自体だけでなく、室内で使われる家具、殺虫剤、防虫剤や、喫煙なども室内汚染を引き起こし、CSの発症原因になります。室内、屋外を問わず盛んに使われている有機リン系農薬(殺虫剤)は、さまざまな毒性(神経作用、アレルギー悪化、視力低下など)が指摘されています。また、特に問題なのが、有人・無人ヘリコプターによる空中散布です。ガス化した農薬が、対象の田畑や森林だけでなく、周辺の住宅地などにも長期間留まり、有機リン中毒やCSなど、深刻な健康被害をもたらしています。さらに、農産物生産以外の目的で使われる農薬(シロアリ防除剤、庭・公園・街路樹の殺虫剤など)には、ごく一部を除いて規制がなく、発症原因となったり、発症者を苦しめています。

化学物質過敏症の原因

シックハウス 59%

農薬・殺虫剤 21%

有機溶剤 8%

その他 12%

患者221名(女性164名、男性57名)。6~62歳(平均42歳)。

北里研究所病院臨床環境医学センターによる

化学物質過敏症の主な症状

【目】かすみ/視力低下/物が二つに見える/目の前に光が走るように感じる/まぶしい/ちかちかする/乾き/涙が出やすい/ごろごろする/かゆみ/疲れ/目の前が暗く感じる

【鼻】鼻水/鼻詰まり/かゆみ/乾き/鼻の奥が重い/後鼻腔に何か流れる感じがする/鼻血

【耳】耳鳴り/痛み/耳のかゆみ/音が聞こえにくい/音に敏感になった/耳の中がぼうっとする感じがする/耳たぶが赤くなる/中耳炎/めまい

【口やのど】乾き/よだれが出る/口の中がただれる/食べ物の味が分かりにくい/金属のにおいがする/のどの痛み/のどが詰まる/ものが飲み込みにくい/声がかすれる/喉頭に浮腫ができる

【消化器】下痢や便秘/むかむかして吐き気がする/おなかが張る/おなかの圧迫感/おなかの痛みや痙攣/空腹感/胸焼け/げっぷやおならがよく出る/胃酸の分泌過多/小腸炎や大腸炎

【腎臓・泌尿器】トイレが近くなる/尿がうまく出ない/尿意を感じにくくなる/夜尿症/膀胱炎/腎臓障害/インポテンツ/性的な衝動の低下や過剰

【呼吸器・循環器】せきやくしゃみ/呼吸がしにくい/呼吸が短くなったり呼吸回数が多くなる/胸の痛み/息遣いが荒くなる/喘息/脈が速くなる/不整脈/血圧が変動しやすい/皮下出血/寒さに対して皮膚の血管が過敏になる/血管炎/にきびのような吹き出物が出やすい/むくみ

【皮膚】湿疹、蕁麻疹、赤い斑点が出やすい/かゆみ/引っ掻き傷ができやすい/汗の量が多い/皮膚が赤くなったり青白くなったりしやすい/光の刺激に対して過敏になる

【筋肉・関節】筋肉痛/肩や首がこる/関節痛/関節が腫れる

【産婦人科関連】のぼせたり、顔がほてったりする/汗が異常に多くなる/手足の冷え/おりものが増える/陰部のかゆみや痛み/生理不順/不妊症/生理が始まる前にいらいらしたり、頭痛、むくみなどがある/感染症にかかりやすくなる

【精神・神経】頭が痛くなったり、重くなったりする/手足のふるえや痙攣/うつ状態や躁状態/不眠/気分が動揺したり不安になったり精神的に不安定になる/記憶力や思考力の低下/食欲低下/いらだちやすく怒りっぽくなる

【その他】貧血を起こしやすくなる/甲状腺機能障害

患者の苦痛

 化学物質過敏症の特徴の一つに、アレルギーなどと比べても、はるかに少ない量の化学物質に反応することがあります。ホルムアルデヒドの室内空気濃度指針値は0.08ppmですが、それより低い濃度で反応する発症者の方もいます。

重症の方は、身の回りの多種類の微量化学物質に反応するため、起きている間じゅう、絶え間なく苦しみます(発症者によっては寝ている間でさえ、不眠や悪夢で苦しめられます)。着られる服がない、使える生活用品がない、食べられるものを探すのも一苦労(農薬や添加物が使われたものは食べられません)。そして何よりつらいのは、自分のこの体を安心して置ける場所がないことです。

化学物質過敏症とシックハウス症候群

 シックハウス症候群は室内空気汚染を原因とする症状であると言う事は前述した通りですが、その建物に住み続けることによってアレルギー疾患が生じたり、化学物質過敏性になることから、アレルギー疾患、化学物質過敏症とシックハウス症候群の3者の発症や症状は重複するところが多いといえます。

かつて「シックハウス症候群」が多発して社会問題化したことから、厚生労働省は、室内空気の化学物質濃度に指針値を設けました。国立病院機構の一部の病院では、シックハウス症候群を診断できる態勢が整備されつつあります。2003年7月には改正建築基準法が施行され、カルテや診療報酬明細書(レセプト)に記載するための病名リストに、2009年10月1日から化学物質過敏症を登録しました。

 このことによって、これまで「シックハウス症候群」「自律神経失調症」「うつ病」など、他の病名で治療を受けたり、申請をせざるを得なかった障害年金においても、「化学物質過敏症」という正しい病名による認定が増加し、わずかではありますが生活保障されるケースが報告されています。しかしながら、 根本的な脱化学物質、脱電磁波など、目に見えない環境汚染物質の発生や使用に対する幅広い規制、対策は、ほぼ無策と言っても過言ではありません。

 また、厚生労働省は、シックハウス症候群など体調不良を引き起こすおそれのある化学物質についてを、新たに追加しました。新たに指針値が設定されるのは、水性塗料の溶剤に使われている「テキサノール」や、接着剤や塗料に含まれる「2-エチル-1-ヘキサノール」など。テキサノールは、既に指針値のあるフタル酸エステル類の代わりに広く使われています。2-エチル-1-ヘキサノールはオフィスなどのビニール製の床材から放散され、問題になることが多いとされます。

 

新過敏症 香水、柔軟剤のニオイ

 最近、新たに発症してある過敏症があります。公害になぞらえて「香害」。香水などの香りが「不快」を超え、健康被害を訴える声が増えています。具体的には、衣類の柔軟剤や香水、香りが強い商品です。洗濯物の香りで息ができない、吐き気がする、体臭対策で香水をつけたはいいが、香りが強すぎると周囲に不快感を与えていますが、当の本人は“良い香り”だと思っているから指摘するのも難しい。柔軟剤のテレビCMなどでも、花の香りを振りまくことで、周りの人たちが笑顔になるような演出をしているため、その香りが不快感を与えているとは想像しにくいのかもしれません。それが香りの好みではなく、健康に関わる問題となっています。

 芳香性がブームになったこともあり、柔軟剤は本来、生地の質感を柔らかく保つための仕上

げ剤。国民生活センターによると、以前は微香タイプが主流でした。ところが、10年ほど前に香りの強い海外製品がブームになったのをきっかけに、芳香性を強調した製品が増加。その頃から、柔軟剤による体の不調を訴える人が増え、過敏症の人たちが悲鳴をあげています。各メーカーは、対策としてテレビCMなどで「香りの感じ方には個人差があります。周囲の方にもご配慮のうえお使いください」などと表示。製品やホームページに、香りの強さを表記されています。

子どもが危ない 子どもと化学物質過敏症

「シックスクール」という言葉が聞かれるようになりました。子どもにとって安全であるべき学校の環境が原因で、子どもや教職員が化学物質過敏症などを発症したり、または、すでに化学物質過敏症やアトピー、アレルギーになっている子どもや教職員の症状が悪化するケースです。

 化学物質過敏症を発症している子どもや教職員の多くは、床に塗るワックスや教材から揮発する化学物質、教職員のたばこや香水、校庭の樹木へ散布される殺虫剤などに反応して、症状が出てしまいます。

 また、校舎の新築や改修による集団的な健康被害の発生例も報道されています。

 学校側が協力して、教室の換気を励行したり、教職員がたばこや化粧を控えるなどの対応を取れば、化学物質過敏症の子どもでも通学できる場合があります。しかし、化学物質の問題について知識がない関係者がまだ多いため、子どもや親からの訴えがなかなか理解されないケースも目立ちます。

 また、学校側が協力しても学校に通えないほどの重症の子どもの場合は、養護学校からの訪問教育などで対応するよう、文部科学省は指導しています。しかし、「人員が足りない」などの理由で、実施されないこともあります。

 シックスクールは、一部の「過敏な子」だけの問題ではありません。化学物質過敏症の典型的な症状の一つに、集中力・思考力が欠けて落ち着きがなくなる、感情を制御しづらくなり怒りやすくなる、というものがあります。化学物質に曝露されると「キレる」子どもが(大人も)現実にいます。一見すると元気で活発な子どもが、実は病気のせいで“多動”になっていた、という例も報告されています。

今日、落ち着きのない子ども、感情を制御できない子どもが、いかに多いかということは、皆さんもご承知の通りです。

親も教職員も、そして子ども本人も気付かないうちに、化学物質の影響を受け、「多動児」「問題児」扱いされている子どもたちも、きっといるのではないかと思われます。化学物質過敏症の子どもたちが通えるような学校にすることは、他のすべての子どもたちの健康を守ることにもなるのです。

「健常者」も危険

 化学物質過敏症を発症していない人が、化学物質過敏症を発症しないために、化学物質にできるだけ曝露されないよう、より安全な生活習慣を心がけるようにしてください。化学物質過敏症は多くの場合、特別なものによって発症するのではありません。「危険」だとして禁止される化学物質は、禁止される直前まで普通に使用されているのです。あまり神経質になる必要はありませんが、化学物質の安全性・危険性については完全には解明されていないこと、また、単一の化学物質は安全でも、身の回りには数百種類かそれ以上の化学物質が常に存在し、その複合影響があり得ることにご留意ください。

【具体的な予防策】

・室内空気を汚さない(換気の励行。噴霧式・スプレー式殺虫剤、芳香剤、消臭剤は使用しない。蚊取り線香は使用しないか短時間に限って使用。衣類防虫剤は使用しないか密閉容器中で使用。あらゆるスプレー類は使用しないか戸外で使用)

・食品は安さだけでなく安全性にも注意を

・合成洗剤はやめて石けんに

・住宅の新築・改修・改装は特に注意

・「あれば便利」程度で、なくても良いものは使わない

・家庭だけでなく、職場、学校・幼稚園などでも同様に

・適度な運動で汗をかいて

まとめ

 昨今、環境問題がさかんに問われています。

プラスチック製袋の削減や省エネ法改正、脱炭素社会など次々に施策が行われてきています。私たち人間は、利便性を求めてすぎて、その代償として、温暖化や気象の激甚化が起こり、人間の本来もつ生命力が弱ってきているように思います。そしてコロナウィルス。これ以上、暴走していけないという自然からの警告なのかもしれません。そんな時代に、私たちは生き延びてゆかなければなりなません。人間が作り出した化学物質に苦しめられている人たちを理解し、そしてこれから苦しめられるかもしれないという現実を踏まえて、今後、高度に発達した便利な暮らしのなかで、ある時、ふいに自身の健康が損なうリスクが生じることを十分に考慮しつつ、社会を歩んでいくことになることでしょう。

統計データ及び事例、さらに発症者の相談、支援については、弊社も正会員である化学物質過敏症支援センターのHPをご参照ください。

住宅の省エネ性能に関する説明義務化について

 2021年4月から建築、住宅の省エネに関する新制度がスタートします。「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」の改正に基づき、従来の制度から新たな項目が追加されます。大手住宅会社から中小工務店まで大小を問わず、建築物、住宅を建てるすべての事業者に対して、住宅の省エネ性能に関する説明義務化や、適合義務の対象をこれまでの2000㎡以上の非住宅建築物から300㎡以上の非住宅建築物に拡大など、措置や制度の見直しが行われます。

そこで、今回は、この制度について詳しく解説していきましょう。

改正が行われた背景 

1.パリ協定を踏まえた地球温暖化対策

 わが国は、2015年7月、2030年に2013年度比で温室効果ガスを26%削減目標と位置付けました。世界のすべての国が参加する2020年以降の温室効果ガス削減等のための新たな国際枠組みとして、パリ協定を採択し、それを踏まえて、日本における中期目標としての地球温暖化対策計画が策定されました。エネルギー起源のCO2の各部門の排出量の目安として、住宅、建築物分野では40%削減目標が掲げられました。新築の住宅建物における最終エネルギー消費の削減量は全体の12.8%を占めます。省エネ性能の向上への取り組みによってこの数値の実現を目指します。

2.建築士の省エネ知識を必須に

 省エネについてこれまで行われてこなかったわけではありません。用途、規模別の省エネ基準適合率を見ると、改正前は、大規模な建築物については義務化されていましたが、住宅については全体で62%に留まる状況でした。そういった中では、当然に、省エネ基準への知識や習熟度が乏しい事業者や建築士がいることになります。そこで改正前の努力目標の「省エネ性能の向上」から、改正後は「省エネ基準への適合」とし、これまでの用途や規模で省エネ基準を小規模の住宅まで広げることによって、事業者や建築士の省エネに対するこれまでの中途半端だった認識から、必須な知識となるように改められたことになります。

3.建築主の省エネ意識の向上

 この法改正では、建築主などが負う努力義務のレベルが上がります。住宅などの小規模建築物の場合、建物に詳しくない建築主が少なくありません。建築士から説明を受けて省エネの大切さに気付いてもらうことがねらいでもあり、それは、省エネ性能向上への第一歩になるのではないかと考えます。

改正建築物省エネ法の概要

適合義務制度、説明義務制度、届出義務制度、住宅トップランナー制度、性能向上計画制度、エネルギー消費性能認定制度という主に6つの制度からできています。

適合義務制度

対象となるのが2000㎡以上の非住宅建築物から、300㎡以上の非住宅建築物に拡大されます。

1.300㎡以上の非住宅建築物の新築等において省エネ基準への適合が義務化されます。

2.建築主は、登録省エネ判定機関等の省エネ適合性判定(省エネ適判)を受け、交付される適合判定通知書を建築確認時に提出することが必要になります(同通知書の提出がないと、確認済証が発行されません)

3.完了検査時においても、省エネ基準への適合性の検査が行われます(省エネ建材設備を含め、設計図書等のとおりに工事が実施されないと検査済証が発行されません)

説明義務制度

対象となるのが300㎡未満の住宅建築等で、設計の際に建築士から建築主に対して省エネ基準への適否等の説明を行うことが義務化されます。以下で、より詳細に解説していきます。

届出義務制度 

対象となるのが300㎡以上の住宅となります。但し、令和3年3月までは300㎡以上の非住宅も対象になります。

1.300㎡以上の住宅の新築時において、着工日の21日前までに届け出となります。また住宅性能評価やBELS等の取得により届け出制限を着工の21日前から3日前に短縮し、省エネ計画の所管行政庁への届け出が義務化されます。

2.所管行政庁は届出に係る計画が省エネ基準に適合せず、省エネ性能確保のため必要があると認めるときは計画の変更等の指示、命令ができます。

住宅トップランナー制度

 対象となるのが、分譲戸建て住宅を年間150戸以上供給する事業者、注文戸建て住宅を年間300戸以上供給する事業者、賃貸アパートを年間1000戸以上供給する事業者となります。住宅トップランナー基準は、省エネ基準よりも高い水準になります。従来の建売住宅に加えて、注文住宅と賃貸アパートも対象になります。従来の建売住宅の省エネ基準15%削減に、注文住宅25%削減、賃貸アパート10%削減が追加されます。省エネ性能の向上を誘導し、必要に応じ、大臣が勧告、命令、公表されます。

エネルギー消費性能認定制度 

容積率特例に関わる認定制度

誘導基準に適合すること等についての所管行政庁の認定により容積率の特例を受けることが可能になります。

→対象に複数の建築物の連携による取り組みを追加します。※省エネ性能向上のための設備について通常の建築物の

床面積を超える部分を不算入(10%上限)

性能向上計画制度

省エネ性能に関わる表示制度

基準適合認定制度・・省エネ基準に適合することについて所管行政庁の認定を受けるとその旨を表示することが可能になります。

BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)・・登録省エネ判定機関等による評価を受けると省エネ性能に応じて5段階で表示することが可能になります。

現行制度と改正法との比較

     

(出典 改正建築物省エネ法・・国土交通省)

この法改正の中で最も注目すべき説明義務制度について詳しく解説していきます。

 2021年4月以降に設計を委託された住宅について、物件ごとに省エネ計算を実施し、省エネ基準への適否や対応策を建築主に説明することが、建築士の義務になります。それにより、設計の委託を受けた際、建築士は設計する建物が省エネルギー基準に適合しているかどうかを建築主に説明しなければなりません。

1、説明義務制度のねらい

 戸建て住宅や小規模なオフィスビル店舗等の建築主は、一般的に建物の省エネ性能を高めることに関心があると考えられますが、省エネに関する知識を十分に持っているとは限りません。専門的な知見を有する建築士から、具体的な説明を聞いて、初めて省エネに対する意識が高まるという特徴があります。また竣工後は建築主自らが、その建物を使用することが多いという特徴もあります。

 説明義務制度は、建築士から建築主に対する説明を通じて、建築主の省エネに対する理解を促すとともに、自らが使用することとなる建物の省エネ性能を高めようという気持ちを持ってもらうことが制度のねらいであります。

 このため説明義務制度においては、単に建物の省エネ基準への適合性を確認し、その結果を建築主に伝えるだけではなく、あらかじめ省エネの必要性や効果について情報提供を行くことが必要になります。

説明義務制度の対象

 説明義務制度は床面積の合計が300㎡未満の建築物(住宅、非住宅建築物及び複合建築物のいずれも対象です)について行う新築及び増改築が対象となります。※建築物省エネ法施行令第4条第1項で定義する開放性を有する部分を除いた床面積になります。

 ただし以下の建築物については適用除外とされています。

○居室を有しないこと又は高い開放性を有することにより空気調和設備を設ける必要がないことが想定される用途に供する建築物(畜舎や自動車車庫等)

○保存のための措置により省エネ基準に適合させることが困難な建築物(文化財指定された建築物等)

○仮設建築物(建築基準法第805条に規定する仮設建築物)

また10㎡以下の建築物の新築増改築の規模が300㎡以上または10㎡以下の増改築は対象とはなりません。

※いずれも開放性のある部分を除いた床面積により判断します。なお説明義務制度は制度の施行予定日である令和3年4月1日以降に建築士が委託を受けた建築物の設計が対象になります

2,評価説明の4ステップ

説明義務制度は次の4つのステップで進めます。

ステップ1 情報提供(省エネの必要性効果の情報提供)

ステップ2 評価説明の実施に関する建築主の意思確認

ステップ3 設計を行う住宅建築物の省エネ性能の評価

ステップ4 設計を行う住宅建築物の建築主への評価結果の説明

ステップ1  情報提供(省エネの必要性効果の情報提供)

説明義務制度のねらいで説明したとおり、説明義務制度においては建築士から建築主に対して、省エネの必要性や効果について情報提供を行うことを通じて建築主の省エネに対する意識の向上につなげることが重要となります。

 このため説明義務制度の内容の方が省エネの必要性や効果について、当該建築物の設計に従事することとなる建築士から建築主に対してあらかじめ情報提供することが重要です。 情報提供を行うにあたっては国土交通省等が作成したチラシやリーフレットを活用していくこともあります。

なお省エネの必要性等の情報提供に合わせて

○評価や説明を実施する場合省エネ性能の計算等の費用が必要になること

○省エネ性能の計算の際採用する計算方法によって、計算の精度が必要となる費用が異なること

○省エネ性能向上のための工事等にかかる費用や工期が必要になること

○省エネ性能を維持するためには、建物の完成後も適切なメンテナンスやそのための費用が必要になること

等についても情報提供を行います。

情報提供を行う時期

 情報提供を行う時期については、いつまでに行わなければならないという決まりはありませんが、建築主が希望する省エネ性能等は設計内容に大きく関係するため事前相談の段階などできるだけ早い段階で、行っておくことになります。

ステップ2 評価、説明の実施に関する建築主の意思確認

 説明義務制度においては、建築士は、設計の委託契約を結んだ建築主に対して、省エネ基準への適否について評価を行った上で、その結果の説明を行います。

その際、評価、説明の実施に関する建築主の意思に応じて、書面の作成や保存が必要となります。このため、評価説明の要否について、あらかじめ建築主の意思を確認しておく必要があります。また、この意思確認と併せて、省エネ計算の実施に当たり採用する計算方法、評価の時期や回数のほか、設計変更があった場合の評価、説明の扱いについても説明を行います。

意思確認を行う時期

建築主の意思確認を行う時期については、いつまでに行わなければならないと言う決まりはありませんが、評価や説明を行うタイミングなど設計のプロセスのほか、評価等に要する費用等にも関係するため設計契約前の事前相談の段階や建築士法に基づく重要事項説明を行う際にステップ1の省エネの必要性や効果の情報提供と合わせて行うなど、できるだけ早い段階で行うことになります。

評価、説明は不要であることを表明する書面の作成保存

 建築主が評価、説明は不要であるとの意思を表明する場合には、建築主はその旨を記載した書面(意思表明書面という)を作成し、建築士に提出する必要があります。また、建築士が受領した当該書面は、建築士法に基づく保存場所として、建築士事務所の解説者が建築士事務所25年間保存する必要があります。

なお、建築主が評価、説明を希望する場合には意思表明書面の作成の必要はありません。また、建築主が評価、説明を希望しない場合であっても、トラブルを避ける観点から、建築主の理解を得るように、省エネの必要性や効果を十分に説明する必要があります。

また、説明義務制度に基づく意思確認の際には、省エネ基準への適合について、建築主の意向を確認するほか、質の高いストックの形成に向け、これらの水準を満たすようなさらに高い省エネ性能の建築物とすることを希望するかなど、建築主の求める省エネ性能についても確認することになります。

設計段階における建築主とのコミニュケーション

 建築士は、建築主が求める省エネ性能を踏まえて設計を進めることになりますが、建物の省エネ性能は、建築主が

希望するプラン、空間や住まい方、使い方、コスト等とも密接に関係します。建築主は、これらのバランスを踏まえて最終的にどの程度の省エネ水準の建物とするかを決めるため、建築主と設計内容の打ち合わせを行う際、省エネ性能についても意識しながら打ち合わせを行うなど、設計の途中段階においても省エネに関する緊密にコミュニケーションを図ることが重要です。

ステップ3  省エネ性能の評価

 ステップ2で建築主の意思を確認した上で、設計士は設計する建物について、省エネ性能を計算し、省エネ基準に適合するかどうかについて評価(=省エネ性能を計算した結果が省エネ基準に適合しているか否かの確認)を行います。

なお、増改築を行う場合の評価は、当該増改築に関する部分のみを評価するのではなく、建物全体について省エネ基準への適合を評価することになります。

この際、既存部分の断熱材の使用状況や設備の性能が不明であるために、増改築後の建物全体の省エネ性能を計算することが困難である場合には既存部分の建設時期や増改築の内容規模等を総合的に勘案し、増改築後も省エネ基準に適合することが困難であるとして、省エネ基準に不適合であると評価することも考えられます。また、住宅の場合、増改築を行う部分については説明できるよう、増改築を行った部分の使用規定(28国土交通省告示第260 号)への適合性について整理しておくことも考えられます。

省エネ性能の評価を行う時期

説明義務制度に基づく省エネ性能の評価については、実施設計がある程度進み、省エネ性能に影響する設計が概ねまとまった段階で行うことが考えられます。その際、省エネ性能の計算については、建築士自らが実施するほか、省エネ性能の計算を専門に行う外部の事業者に委託することも考えられます。ただし、外部の事業者に省エネ性能の計算を委託する場合であっても、評価については、委託業者による計算結果を踏まえて建築士の責任において行う必要があります。

 基準を満たさない場合には、不適合であることを説明したうえで「どうすれば適合するようになるか」を具体的に示します。例えば「屋根や外壁に用いる断熱材を厚くする」、「窓の仕様を単板ガラスのアルミサッシから複層ガラスのアルミ樹脂複合サッシに差し替える」といった具体的な内容の説明になります。

 基準への適否をはじめ、説明する内容は書面化します。建築主が「省エネに関する説明は要らない」と言えば、建築士は説明をしなくてかまいません。ただし、建築主が説明を断ったということも書面で残しておく必要があります。

 書面化すべき内容はシンプルですが、実際の説明場面では、省エネ基準、外皮性能、一次エネルギー消費量といった言葉の意味や、なぜ省エネ化が必要になっているのかを建築主に伝えることになります。

増改築を行う場合について

1.増改築を行う場合の基準

増改築を行う場合の評価は、増改築を行う部分だけではなく、当該建物全体について省エネ基準への適合評価する必要があります。その際、既存の住宅や建築物の増改築を行う場合に適用される省エネ基準は、新築する場合の基準と異なること、また、増改築を行う住宅や建築物が2016年4月1日時点で存在していたか否かによって異なることに注意が必要です。

2.増改築を行う場合の説明

増改築を行う場合であっても、建物全体について省エネ基準歴史を評価した上で、その結果を説明します。ただし、部分的な増改築を行う場合には、住宅建物全体を省エネ基準に適合させることが難しいケースもあるため、その場合には、増改築を行った部分は使用規定に適合しているなど、増改築部分の改善状況等についても併せて説明を行います。

地方公共団体の条例により省エネ基準の強化

1.省エネ基準に関する留意点

住宅や建築物の省エネ基準は地域の区分に応じて設定されていますが、地域の区分は2019年11月に見直しが行われています。このため、設計する建物の建設地の最新地域の区分を確認することになります。

その他、建築物省エネ法では、地方公共団体がその地域の気候、風土の特殊性を踏まえて、独自に省エネ基準を強化することができることとされているため、設計する建物を建設する地域の省エネ基準が強化されていないかも確認することになります。

2.気候風土適応住宅の場合の基準

伝統的構法を採用する住宅については、断熱化が困難な両面真壁の土塗壁等の使用を採用することにより一般的に、省エネ基準への適合が困難な場合があります。一方で、こうした伝統的構法の住宅は、通風、日射の活用や制御、地域の建築材料の採用、地域で培われてきた住まい方への配慮といった、地域の気候、風土を踏まえた工夫の採用により、優れた居住環境を有しています。

こうした住まいづくりの重要性に配慮し、建築物省エネ法においては、地域の気候及び風土に応じた住宅(気候風土適応住宅)については、説明義務制度の適用にあたり省エネ基準を一部合理化しています。

この気候風土適応住宅の要件については、建築物省エネ法において規定されているほか、所管行政庁がその地域の自然的社会的条件の特殊性に応じて要件を定める場合もあるため、住宅を建設する地域の要件がどのようになっているかを確認する必要があります。

3.気候風土的大住宅に該当する場合の説明

設計する戸建て住宅とか気候風土的大住宅に該当する場合には、建築主への説明の際に省エネ基準への適否等に加えて、当該住宅が気候風土適応住宅に該当することについても書面に記載し、説明することを行います。

ステップ4 評価、結果を建築主に説明

建築士は、ステップ3で行った評価に基づき、省エネ基準への適合、省エネ基準に適合していない場合、省エネ性能を確保するための措置について、書面を交付して説明を行います。また、省エネ性能の計算を行った結果、省エネ基準に適合していない場合は省エネ性能確保のための措置についても説明を行います。その際、建築主は省エネ基準適合させる努力義務があることから、その旨を説明するとともに、省エネ基準で適合するために必要な措置を説明し、省エネ基準に適合させることを促します。

説明の時期

説明を行う時期については建築士からの評価結果の説明を踏まえて建築主が設計内容の変更を希望する場合も考えることなどから、当該設計の工事の着工までに余裕を持って行うことになります。

説明書面の保存

説明書面は、建築士法に基づく保存図書として、建築士事務所の解説者が建築士事務所25年間保存する必要があります。このため、建築主に対して書面を交付して説明を行った上で、説明書面の写しを保存することになります。なお評価の根拠となる省エネ基準の計算書については、保存図書の対象とはなっていません。これらの書面は、都道府県等による建築士事務所への立ち入り検査の際に、意思表明書面や説明書面が保存されているかについても検査の対象となり、保存されていない場合には、建築士法に基づく処分の対象となる可能性があります。

外皮性能と一次エネルギー消費量

 建物の省エネ性能を高める上で、外皮性能を高めることは有効な方法の一つです。その一方で、寒冷地において日射熱取得率の小さな窓を使用することにより日射の取得量が減り、暖房負荷が大きくなる場合があるほか、蒸暑地においては断熱性能の高い断熱材を使用することにより、建物内に入った熱が建物外へ逃げづらくなり、冷房負荷が大きくなる場合もあります。このため、建物の省エネ性能を高める上では、単に断熱性能や日射遮蔽性能の高い建材を使用するだけでなく、それによる一次エネルギー消費量への影響も踏まえて、総合的に計画することになります。

まとめ

 今回の説明義務化の施行は、快適で安心な暮らしの省エネ住宅の実現に向けた施策になります。この施策は、

屋根、外壁、窓などの断熱性能に関する基準(外皮基準)によって、住まいの熱を快適にコントロールできるようになりますし、また、暖冷房、換気、給湯、照明など住宅で使うエネルギー消費量に関する基準(一次エネルギー消費量基準)によって、住まいのエネルギーを賢く使えるようになります。省エネ住宅が当たり前になる社会は、住民すべての方にとって、環境と家計にやさしく、かつ健康な暮らしを実現することにつながります。私共は、より省エネに関する情報収集と情報提供を行い、皆様の快適で安心な住まいづくりをサポートしていきます。

住宅とアレルギー

わいけい住宅 第4回住宅とアレルギー 

はじめに

 私たちは、人生のさまざまな場面で、大小にかかわらずいろいろな問題と直面しています。日常生活の衣食住において、アレルギーの問題が避けては通れない厄介事となっています。たとえ、本人が健康でも、家族や周囲になにかしらのアレルギー性疾患を持った人を容易に思い浮べることができるほど身近な存在です。食品にはアレルギー表示を気にしながら買い物をする人、花粉症で苦しむ人、アトピーで痒みに耐える人、喘息で吸引を余儀なくされている人など、アレルギーを発症した場合には、体の一部として、一生付き合っていかなくてはならないものもあります。今回、住まいにおけるアレルギーについて考えていきます。私自身、年少期にアレルギー性鼻炎になり、それ以来ずっとアレルギーと付き合う生活を余儀なくされています。ですので、アレルギーについては並々ならぬ思いと、少しでも共存できる手立てはないかと試行錯誤しています。

アレルギーとは

私たちの体には、細菌やウィルス、寄生虫などの感染性微生物や異物を攻撃し、排除する「免疫」という防御システムが備わっています。この免疫の働きが、危険でないものにまで反応し、攻撃してしまうことで起こるのが、アレルギーです。環境やライフサイクルの変化によって異常を起こし、くしゃみ、発疹、呼吸困難などの症状を起こしてしまう状態です。

 アレルギー疾患には、主に食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎(花粉症を含む)、アレルギー性結膜炎、気管支喘息(ぜんそく)、薬剤アレルギーなどがあります。

 例えば、特定の食べ物を危険な異物とみなされると食物アレルギー。卵、小麦、蕎麦など種類は様々で、口にする食べ物に対する免疫の過剰反応です。また、スギ花粉やダニの糞、皮膚の汚れなどが異物として認識されるとアレルギー性鼻炎(花粉症)、気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎などの病気になります。これらのアレルギーにかかり、鼻水、くしゃみ、咳、痰、かゆみ、下痢、嘔吐などに悩まされている人は多いでしょう。慢性化することが多く、食物アレルギーには、血圧の低下や意識障害など生命が脅かされるケースもあります。

アレルギーのしくみ

アレルギーの原因となる物質を「アレルゲン(抗原)」といい、私たちの身のまわりには、食物、花粉、ダニなど多くのアレルゲンが存在します。このアレルゲンが体の中に入ると異物とみなして排除しようとする免疫機能がはたらき、「IgE抗体」という物質が作られ、この状態を「感作」といいます。いったん感作が成立した後に、再度アレルゲンが体内に入ると、IgE抗体がくっつき、マスト細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質が放出され、アレルギー症状を引き起こします。

アレルギー・マーチとは

幼児期には、アレルギーの疾患が特に顕著に現れます。乳幼児期のアトピー性皮膚炎を始まりとし、続いて食物アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻炎と次々と異なる時期に出現してくることが多く、これを「アレルギー・マーチ」と呼びます。近年、幼児のアレルギー疾患が増加する中で、この「アレルギー・マーチ」の発症、進展を予防することが重要な課題であり、そのための早期診断、早期介入の研究が進められています。

アレルギーの増加

 実に「日本人の3人に1人」4200万人以上がアレルギーに悩んでいます。(厚生省「アレルギー疾患の疫学に関する研究」1992~1996年。)全体でみると、何らかのアレルギー疾患を持っている人は乳幼児 28.3%、小中学生32.6%、成人 30.6%にのぼります。東京都衛生局によると「3歳までに何らかのアレルギーの症状が有り、かつ診断されている児は約4割」(平成26年のアレルギーに関する3歳児全都実態調査)。文部科学省調査では、アトピー性皮膚炎の児童生徒約70万人。ぜんそくは約73万人。アレルギー性鼻炎は約118万人(全体の約10%) です。特に乳幼児から児童のアレルギー疾患が増加しています。 これは異常が日常化した姿と言っても過言ではありません。

症状別にみると

【喘息】過去30年間で、小児の喘息は1%から5%に、成人の喘息は1%から3%に増加し、約400万人が罹患していると考えられます。平成20年の有症率は、幼稚園児で19.9%、6~7歳13.8%、13~14歳で8.3%だった。国民全体で約800万人が罹患していると考えられます。

【花粉によるアレルギー性鼻炎】平成13年に実施された財団法人日本アレルギー協会の全国調査によると、スギ花粉症の有病率は、全国平均約12%であった。平成18年における全国11か所における有病率調査では、鼻アレルギー症状を有する頻度は、47.2%であった。

【アトピー性皮膚炎】平成12年度から14年度にかけて厚生労働科学研究で実施された全国調査によると、

4か月児;12.8%、1歳半児;9.8%、3歳児;13.2%、小学1年生;11.8%、小学6年生;10.6%、大学生;8.2%だった。4か月から6歳では12%前後、20~30歳代で9%前後の頻度で認めることが明らかとなりました(アトピー性皮膚炎治療ガイドライン2008)

【食物アレルギー】平成15年度から17年度の調査によると、乳児が10%、3歳児が4~5%、学童期が2~3%、成人が1~2%。我が国の大規模有病率調査から、乳児有病率は5~10%、学童期は1~2%と考えられる。成人は不明(アレルギー疾患診断治療ガイドライン2010)。我が国全人口の約2人に1人が何らかのアレルギー疾患に罹患していることを示しており、急速に増加しています。出典:リウマチ・アレルギー対策委員会報告書(平成23年)

アレルギー増加の原因

 年代別に有病率を調べると、50代の人が陽性になった割合を調べると約40%でした。つまり、若い世代の人が陽性率が圧倒的に高いです。こうして結果は海外で行われた調査でもよく似た結果が得られました。世代のなかで変化は、経済の発展で生活の質が変化したことと、幼児期に農家で育ち、家畜に囲まれ過ごした人よりも都会育ちの人のほうがアレルギー疾患にかかる割合が高いといわれます。それらの事実を増えると、都市生活が広がり、衛生環境が改善されていったことがアレルギー増加の原因と考えられます。清潔な暮らしをすることで平均寿命は伸び、感染症などは減りましたが、その分、アレルギーが増えていったといえます。

住まいのアレルギー

1、シックハウス症候群

 アレルギーは過敏症の一種であり、世界アレルギー機構(WAO)の分類では、住宅におけるシックハウス症候群は非アレルギー性過敏症と位置づけられています。過敏症とは「健常者が耐えられる程度の弱い刺激に鋭敏に反応し、体に一定の症状が現れる疾患」といいアレルギー反応を介するものと介さないものに大きく分けられます。シックハウス症候群は、住宅に由来する様々な体調不良を総称したもので、特定の疾患ではありませんが、化学物質であるホルムアルデヒドなどによる「化学物質過敏症」なども同様に、免疫との関わりが証明できない過敏症としてアレルギーのカテゴリーには含まれないことになります。あくまで学術的な定義の問題であり、最近の研究では、過敏症の定義から外れるような研究結果がでています。いずれにせよ、うるしや化粧品などによる肌のかぶれが過敏症で、花粉症がアレルギーなど区別することはあくまで、言葉の違いであり、疾患者にとっては、それがどちらでも人を長く苦しめる病であることにはかわりません。

2、化学物質過敏症

化学物質過敏症は、 ほんのわずかの化学物質で、めまいや頭痛、呼吸困難等になるという病気。煙、洗濯物、排気ガス、蛍光灯など、日常のありふれたものに反応してしまうので、特に都会では外出はまずできませんし、発症すると以前と同じような生活ができなくなってしまいます。2008年現在、日本中に一万人以上と言われています。

住まいのアレルギーの事例

1.化学物質ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドなどを含んだTVOC(総揮発性有機化合物)が木材から揮発されており、木の良い香りが度を越すと、ニオイに弱い人、敏感な人がアレルギー症状を起こします。

2. ヒバ油は抗菌作用があるという話から、ヒバがアトピー性皮膚炎に良いということが言われたことがありました。全くの思い込みで、ヒバ材を使うことでアトピー性皮膚炎の改善することは、まったく別の話で、かえって症状を悪化させてしまう事例が報告されています。

3.節だらけの太い丸太を大量に使ったログハウスは、何年経っても室内に化学物質にあふれていて、アレルギーや過敏症の人は住めない。

花粉症

 花粉症のアレルゲンとして最もポピュラーなスギとヒノキは、建築材や家具材として非常によく使われています。花粉症は、スギやヒノキの花粉症に対する即時型のアレルギー反応を指し、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目や鼻、喉のかゆみなどの症状が現れます。地域差はありますが、日本人の25%、4人の1人が花粉症にかかっていると言われています。

日本は世界有数の花粉症大国といわれています。最も大気中に多いといわれているスギ花粉も過去30年間で、最初の10年間の平均花粉数は、最近の10年間と比較すると約2.8倍にも増えています。それと同時に花粉症の種類も50種類を超えて、有病率も格段に増えています。その理由は、花粉症の発症は、アレルゲンとなる花粉の飛散量に比例しますが、そのうちの約70%がスギ花粉によるものです。日本の国土の12%、森林面積の18%がスギにあたり、しかも戦後にスギが大量に植林されています。花粉症が最初に確認されたのは1963年で、70年代以降に急増していますが、この頃から植林されたまま、伐採されずに放置されたスギが開花の適齢期を迎え、相対的に花粉の飛散量が増えたことが予想されます。

杉(スギ)

スギ科は東北や北陸などにわずかに残っていますが、戦後に焦土と化した山々に造林され、現在約450万ヘクタールも植林されています。スギ花粉が発見されてから既に半世紀が過ぎたにもかかわらず、依然として空中花粉飛散量はいまだに増加中です。

檜(ヒノキ)

わが国固有種の重要な建築材、家具材であり、造林面積もスギについで多く、約240万ヘクタールが主に関東以西の太平洋側に植林されており、西日本の一部でスギより植林面積も多く、飛散花粉数も福岡市などではスギよりも多くなっています。

スギアレルギーとヒノキアレルギー

建築材に主に使用されるスギとヒノキですが、檜の家に住むことでヒノキアレルギーが発症することや、スギの建築材が原因で発症することについて、もちらん絶対にないとはいえません。触れるだけでアレルギーの症状が起こる方は、スギや檜の家に住んだ際にも同様の症状が起こる可能性があります。また、一般的に花粉症を持っている方は、アレルギーの症状が発生しやすいことも覚えておきましょう。しかし、木の家はアレルギーが起こりにくいことが証明されています。そのため、花粉症を理由に木の家を特別に嫌う必要はありません。

檜の家は安全

 檜はどちらかといえば、「檜の家」としていわれるように、家の設計上、非常に多く使用されます。檜の香りには、カビや細菌が発生するのを抑える効果があります。そのため、寿司屋のネタ箱やカウンターなど、安全性が求められる部分の材料として使われています。また、ご家庭で使用しているまな板が、檜から作られていることや檜風呂が有名なように、浴槽など、水回り用品の材料として使われています。そして、ヒノキアレルギーの原因は主に檜の花粉です。まな板やネタ箱はもちろん、家の材料となる加工が施された檜に花粉は付着していません。そのため、檜の家に住むことが直接的な原因となり、花粉症が発生する可能性は限りなく低いでしょう。

 日本の夏は湿度が高く、反対に冬は湿度が低く乾燥する気候が特徴です。檜の家に限らず、木の家は周りの湿気を吸収したり放出したりする効果があり、蒸し暑い夏は湿気を吸収し、乾燥した冬は水分を放出します。そのため、木の家は加湿器や除湿器に頼らずとも快適な空間を作り出せます。前述のとおり、檜は、身近なところで使われ、湿気に強い材料です。湿気により土台となる部分や柱が腐る可能性も少なく、細菌の発生も抑えられるのが檜の家の特徴です。

カーペットと住まい

 絨毯=カーペットとアレルギーの関係は、家の畳やじゅうたんがダニの温床になっているということがあるといわれています。カーペットは、ダニの温床になりやすいので、最近では敷き込みカーペットが減り、フローリング床が増えています。ただ、フローリングだから安心とはいきません。フローリングやビニールクロスなど硬質の床材の場合、少しの空気の流れで細かく小さな物質は舞い上がってしまうために、掃除や歩くたびに細かいチリ、ハウスダスト、ダニなどが部屋中に舞い上がってしまいます。いったん舞い上がったチリや誇りは時間をかけて下に落ちてくるため、硬質床材の表面には常に目に見えないハウスダストが落ちている事に

なります。

逆にカーペットでも織物であるキリムやラグなどはホコリやダニの死骸を吸着し、空気中に舞い上がるのを押さえる働きがあるものもあります。特に羊毛製のラグは表面が鱗状になっているため、微小なチリやホコリが絡み合って定着します。カーペットには、もともとアレルギーの原因となるカビやダニは生息していません。有害物資は外からは入ってくるものです。カーペットが必ずしもダニの温床と決めつけることはできませんが、かつての絨毯は、敷いた部屋が畳敷きの和室で、6畳敷きや8畳敷きなど、部屋の端から端まで目一杯に敷かれ、

重いため、一度敷かれてしまうと中々動かすことが難しく、何年も敷きっぱなしにされていました。畳は本来呼吸するもので、湿気調整が可能なものです。ただその上に分厚い羊毛の絨毯が敷かれると呼吸困難になってしまい、ダニやカビが繁殖していくのです。そういった事情から、カーペット=ダニの温床としてアレルギーを引き起こす原因のひとつとなったのです。カーペット自体にカビやダニなどが付いているわけではありません。使い方によって問題が発生してしまうのです。

ダニについて

一般的に「ダニ」という言葉には悪い印象がありますが、人間の生活環境には多くのダニ類が共存しており、決して悪者ばりではありません。しかし、人間の健康に病害を及ぼすダニ類は医ダニ類と呼ばれています。

 ダニ類は分類学的には節足動物クモ網の中のダニ目に属します。つまり、クモの仲間であることがイメージできます。その種類はたいへんに多く、地球上で2万種類以上が知られています。ダニの中には動物や植物に寄生するもの以外に、地面や土の中、住宅の内外など、さまざまな環境に生息します。また落ち葉や動物の死骸などを分解することで自然環境に重要な役割を果たすダニがある一方で、ヒトに病害を引き起こす医ダニ類がおり、刺すダニと刺さないダニとも区別できます。

アレルギーとなるダニ類

チリダニ類アレルギー

 チリダニ類はハウスダウトの中の有機物などを食べており、主に室内のカーペットや畳、寝具類、布製ソファー、ぬいぐるみなどに生息しています。

このダニ類は、喘息やアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎などの原因として知られています。生きたダニだけではなく、その死骸や排泄物もアレルギーとなります。とくに乾燥する秋に室内にダニアレルゲンの量が増えるとされています。また、貯蔵食品中で繁殖もしますので、室内環境でも検出されます。食品への混入による劣化の原因になることがあります。

住まいのおけるアレルギー対策

対策1、ダニは室内の温度管理と掃除で撃退

チリダニ類を居住環境から減らすためには、餌となるアカ、フケや食物などの居住環境内に溜めないこと、カーペットやぬいぐるみなど、チリダニ類が好んで生息・繁殖する場所を極力減らすこと、そして繁殖に好条件である高温、多湿環境を作らないことが大切です。そのためには掃除機でこまめに部屋の掃除をし、できる限りカーペットはフローリングにして室内の調製品も必要最小限にすること、部屋の風通しをよくして乾燥させること、布団や毛布などの寝具類は丸洗い可能なものは丸洗いをして、高熱を乾燥させることなどが理想です。いまはダニとり掃除機などがありますので、利用することをおすすめします。また、大掃除や衣類の入れ替えなどの際には、マスクやゴーグルなどを着用してダニアレルゲンの体内への侵入を防ぐことも重要です。

対策2、皮膚バリアを作る

 免疫の過剰反応によってアレルギーが起こりますが、最近の研究では、発症のきっかけは皮膚バリアの機能のトラブルが原因とされています。皮膚だからアトピーだけの話と思ってしまいますが、皮膚とは関わりのなさそうなアレルギーも、気管支ぜんそくや花粉症も発症のきっかけが皮膚であることが明らかになってきています。

皮膚の機能の低下を防ぐ保湿することが以前にも増して重要になっており、すでに幼児期のアレルギーの対策としてよい効果があるとされています。

対策3、アレルゲン検査

 アレルギー性疾患は、成人になっても油断できず、ある日突然、発症することがあります。成人になって花

粉症になったひとを何人も知っています。そうなった場合は、医療機関でアレルゲン検査を受けることをおすすめします。症状によって、血液検査や皮膚反応検査が行われます。自分自身のアレルギーの原因物質はなにかを知っているだけでも対策が違ってきます。同じ花粉症でも、スギアレルギーなのかブナクサアレルギーなのかで、季節によって症状が異なりますし、それらの草木が多く茂っているところは避けることもできます。急な発作が起こる喘息であるならば、空気清浄など気にすべきところも変わってきます。アレルギー疾患と診断されたならば、治療や病気と長くつきあっていく場合もあります。生活そのものが、それまでとは大きく変わることもでてきます。それがどうも住環境が原因であると思われる場合、治療は医療機関になりますが、使用している木材や塗料など様々原因の可能性考えられます。建築のプロの観点から、お役に立つ情報やアドバイスができるかもしれません。お気軽にご相談ください。

住宅と電磁波

はじめに

 私たちを取り巻く環境は日々変化をしています。あらゆる分野で画期的な商品やサービスが誕生し、これまでの常識を覆すような革新的な開発や技術生み出されています。科学などの目覚ましい進歩は、私たちの生活や暮らしを便利で豊かにしていることに疑いはありません。例えば、自動的に掃除をしてくれる掃除機ルンバや超薄型の4K8Kテレビ、AIが搭載されたロボット、携帯電話やスマートホンにいたっは、毎年新機種が登場し続けています。もはや持っていない人を探すほうが困難なほどです。私たちはこれらの商品の利便性を享受する一方で、家の中には溢れんばかりの電化製品が並び居住空間にはコードや配線が所狭しと張り巡られていることを忘れてはなりません。また、外を見渡せば、送電線や携帯電話の電波塔などが、あっという間に、住宅周辺の空き地に建てられているような状況です。私たちは、いつの間にか多くの電磁波の中で暮らすようになっているのです。それによって健康影響を始め、様々な問題が起こっています。


電磁波とは何か

 電磁波とは空間を走る電磁気の波のことです。電磁波の「雷」とは電気のことで、その電気が空間に放たれたものが電波です。しかし、電気や電波には、その影響が及ぶ領域があります。炎に手を近づけていくと、熱を感じ領域があるように、電気や電波にも影響が及ぶ範囲があります。この領域を「雷場」といいます。また電磁波の「磁」とは、磁気あるいは磁場を意味します。磁石が鉄を引き寄せる際に働く吸引力が「磁気」で、磁気が及ぶ範囲のことを「磁場」といいます。電流が流れると、その周りには「雷場」と「磁場」が発生します。電磁波とは、電気によって生じる「雷場」と「磁場」を伴った波のことなのです。


生活環境における電磁波 (雷場)と(磁場)

日常生活を思い浮かべてみましょう。居住空間のなかで、ラジオ波やテレビ波、携帯電話に使われるマイクロ波のような電波が空間を走っています。ちなみに送電線や電気コードは動線内を通る電気を電流といい電磁波とは区別されます。しかし、電流がコードを流れる時に、コードから電磁波が空間に漏れてでてくることがあります。生活環境において、様々な電化製品の多くは、スウェーデン基準といわれる安全基準の、25v/m の電磁波(電場)を超え、 数百v/m が発生している場合が多いようです。
 雷場・・電圧がかかることで発生し、ブレーカーを切らない限り家中の全ての屋内配線から発生します。常に電圧がかかっている屋内配線から、半径70cm 360度方向に発生し、天井配線においては、 半径70cm超える距離にて居住している場合が多く、影響が少ないと思われますが、 壁内にある屋内配線の場合は、壁面に接してベット、机を配置する場合が多く、 電磁波の電場の影響が大きいと考えます。
 磁場・・電流が流れて初めて発生し、コンセントに家電製品の電源プラグを差し、電源スイッチを入れることで発生します。しかし、 屋内配線では、その1本1本の配線に流れる電流の量に限りがあるため「磁場」はほとんど発生しないと思われます。


電磁波の種類

波長がとても短くパワーがあるガンマ線やエックス線は物質の原子から電子をはがすほど強力なので電離放射線といい、それよりも波長が長い電磁波は電離作用がないので非電離放射線といいます。

図1.電磁波の種類

電磁波=放射線   電離放射線     x線

                   ガンマ線

                   紫外線の一部

                         

     光の仲間  赤外線

       非電離放射線  可視光線

 紫外線大部分

          電波    静電磁波 サブミリ波

                        極低周波 マイクロ波

                        中間周波 

                        高周波  テレビ波 ラジオ波

 

さらに詳しくみると電磁波は、周波数が低い(波長が長い)方から順に、「静電磁「超低周波電磁

「中間周波電磁「高周波電磁」に分けられます 電磁波の性質は「周波数」「波長」によって異なります。その性質の違いによって、いくつかの種類に分類されます。「周波数」とは、電磁の強さが1秒間に何回変化を繰り返すかを表すもので、「ヘルツ(Hz)」という単位が用いられます。「波長」とは、電磁の波の間隔を表すもので、「メートル(m)」が用いられます。電磁の周波数が低いほど波長は長く、周波数が高いほど波長は短くなります。電磁には、周波数が低い(波長が長い)方から順に、静電磁、超低周波電、中間周波電磁、高周波電磁があります。

静電磁波・・周波数が0Hz、つまり強さが変化しない電磁を指します。静電磁は「直流電磁」と呼ばれることもあります。これは、鉄道や医療用磁気共鳴画像撮影装置(MRI3)などに用いられています。地磁気や永久磁石の磁界もこれに含まれます。

超低周波電磁・・周波数が0Hzより大きく、300Hzまでの電磁を指します。超低周波電磁には、家電製品や、送電線・変電所などの電力設備に用いられる50Hz及び60Hzで、商用周波電磁とも呼ばれます。

中間周波電磁・・周波数が300Hz10,000,000Hz10MHz)の電磁を指します。「IF5電磁界」と呼ばれることもあります。中間周波電磁界は、電磁誘導加熱式(IH6)調理器、電子タグ(RFID7機器、無線タグ、ICタグなどとも呼ばれます)、電子商品監視装置(EAS8機器、万引防止監視システム、盗難防止装置などとも呼ばれます)、AMラジオ放送などに用いられています。新しい応用技術として、電気自動車の非接触充電にも用いられいます。

高周波電磁・・周波数が10,000,000Hz10MHz)~300,000,000,000Hz300GHz)の電磁を指します。「無線周波電磁」や「RF9電磁」、「電波」10と呼ばれることもあります。高周波電磁の中で、波長が短い領域の電磁は「マイクロ波」とも呼ばれます。高周波電磁は、TVFMラジオ放送、携帯電話などの無線通信や、電子レンジなどに用いられています。高周波電磁については、発生源からの距離が遠い領域と、これよりも近い領域で性質が大きく異なるため、異なる尺度を用いて強度を表しています。

以下の図は、電磁波の周波数、波長及び主な発生源の分類を示しています 電磁波(の分類名称周波数波長主な発生源として、(例)静電磁波( 地磁気、磁気共鳴画像撮影装置(MRI)、鉄道超低周波電磁 0Hz~300Hz 1000km~家電製品、電力設備(50Hz、60Hz)鉄道電子商品監視装置(200Hz~14kHz)中間周波電磁波( 300Hz~10MHz 30m~1000km IH調理器(20~90kHz)電子商品監視装置(200Hz~14kHz、22~37.5kHz、58kHz、1.8~8.2MHz)電子タグ(135kHz以下)放送局・通信設備(数百kHz~)高周波電磁波(界) 10MHz~300GHz 1mm~30m 非接触ICカード(13.56MHz)電子タグ(13.56Hz、300MHz、920MHz、950MHz、2.45GHz)医用テレメータ(400MHz)携帯電話、基地局(700MHz~数GHz)無線機器(~数十GHz)通信設備(~数十GHz)放送局(~数百MHz)電子レンジ(2.45GHz)電子商品監視装置(2.45GHz)など


国際的なガイドラインとは

非常に強い電磁人体がばく露すると、健康影響が生じる恐れがあります。この健康影響から人体を防護するため、どのようにばく露を制限したら良いかを示すのが、ガイドライン(防護指針)です。電磁波の物理的な性質は科学的に十分に理解されており、人体への作用についても、長年の研究か多くのデータが蓄積されています。ガイドラインは、このような確立された科学的知識を基に作られています。最も広く利用されているのは、WHOが正式に認知している非政府機関である国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)のガイドラインです。ICNIRPガイドラインは、刺激作用や熱作用により健康影響を生じることがわかっているばく露レベルに対して必要に応じて安全上の余裕を盛り込んで、指針値を制定しています。ICNIRPガイドラインは、欧州連合(EU)理事会がEU加盟各国向けの勧告に採用しているのをはじめ、アジア、オセアニア、アフリカ、中南米など、世界中の約150ヵ国で採用が進んでいます日本では、送電線などの電力設備や、携帯電話基地局などの無線設備、携帯電話などの無線機器について、それぞれの周波数に対するICNIRPガイドラインの指針値と同等の規制が実施されています。

どんな家電製品から電磁波が多く発生しているのか
パソコンやホットカーペットは、使用時間が長く、かつ身体に直に触れるものが私たちにとってより影響が大きく、注意が必要な家電と言えます。さらに最近「オール電化住宅」を謳い文句に、電気床暖房、電気風呂、システムキッチンには「IHクッキングヒーター」を組み入れています。IHクッキングヒーターは火を使わない調理機器で、安全性をセールス ポイントにしていますが家電製品の中で最も強力な電磁波(磁場)を発生させる機器です。この電磁調理器のしくみは、コイルに強い電流を流して磁力線を発生させると鍋の金属に誘導電流が生じます。この誘導電流は鍋素材の電気抵抗を受け熱を発生させます。そのためスイッチをONにして金属製の調理台に触れても熱く感じません。この調理器からは強力な変動磁場が発生し周囲に放射されます。調理台の中心部からは2,000mG(ミリガウス)以上もの磁場が放射されます。1~2mGが安全の目安とされるのに、長時間 台所で磁場に被曝する主婦の健康を考えると、きわめて危険な調理機器です

 家電製品各種からは、電源に用いられる50Hzまたは60Hzの超低周波磁の他、電磁誘導加熱式(IH)調理器など製品によっては数kHz~数十kHzの中間周波磁、インバータやモータを用いる製品からは各種の中間周波磁及び高周波電磁が生じています。これについては、測定法がICNRPガイドラインで定められています。この方法での測定の例では、国際ガイドラインに対する磁界の強さ(磁束密度)の比率は、IH炊飯器では最大5%(測定距離30cm)、IH調理器では最大3%(同30cm)、シェーバーでは最大6%(同0cm)、電気カーペットでは最大13%(同0cm)、電気毛布では最大4%(同0cm)、電気マッサージ器では最大68%(同

0cm)、温水洗浄便座では最大18%(同0cm)、電動歯ブラシと充電器では最大46%(同0cm)、各種の蛍光灯及びLED照明器具については測定下限値である0.2%未満(同30cm)と報告されています。、主な家電製品からの電磁の強さの国際的なガイドラインに対する比率の例を示します。


携帯電話の危険性

 携帯電話が通信に利用する電磁波は、高周波に属するマイクロ波に低周波を混ぜて変調させたもので、800メガメルツから2.0ギガヘルツの周波数で使われています。携帯電話で通話する際は、携帯電話機の最寄りの携帯電話基地局へ信号が送られ、その後、通話やメールができるようになります。携帯電話基地局は、それぞれ送受信を担当する区域をもち、市街地では一基当たり半径数百メートル、郊外では数キロメートルの範囲をカバーします。市街地には、NTTドコモ、ソフトバンク、auなど各通信会社がそれぞれの基地局やアンテナがほぼ500メートル置きに設置しているので、どこにいってもアンテナだらけで、携帯電話電磁波の無い場所はありません。基地局の住民は否応なく24時間、携帯電話電磁波に被爆させられます。さらに基地局は、無線設備を動かすために数千~数万ワットの電力を使うので、周囲では強い低周波磁場が発生し、周辺住民はマイクロ波だけではなく、超低周波にも被爆することになります。

 脳には、有害物質の侵入を排除し、必要な栄養素や酸素だけを通す血液脳関門という組織があります。携帯電話の基準値の1万分の1以下の電磁波に曝しただけで、血液脳関門の機能低下し、有害物質が脳内に侵入することが、スウェーデンで行われた実験でわかりました。血液脳関門の機能低下が続くと、破壊される神経細胞が増えることも確認されています。また、携帯電話を通話中の状態にして30秒間耳に当てただけで、目の奥の血流が4分の1以下に減少する、という報告もあります。脳への血流が減少するということは、脳の神経細胞に必要なブドウ糖やミネラルなどの栄養素や酸素の供給量も減っているということです。このような状態が長期間続くと脳梗塞のような状態が起きると指摘されています。またラット実験では、電磁波を被爆させると、記憶力や方向感覚の低下も報告されています。また、脳内ホルモンを分泌する松果体が影響を受け、睡眠や免疫、生殖にかかわるメラトニンというホルモンが減少します。また、神経伝達物質であるカルシウムが細胞から流出し、細胞の機能や成長に異常が起きます。DNAを傷つけて染色体異常を起こしてガンの原因になるという報告もあります。マイクロ波などの高周波電磁波に被爆する職業や地域では、白血病や小児ガンなどの発症率が非常に高いこともわかっています。

携帯電話基地局周辺の住民に起きる健康影響

携帯基地局からの距離

症状

10m以内

吐き気、食欲不振、視覚障害

100m以内

怒りっぽい、うつ症状、性欲減退、めまい

200m以内

頭痛、睡眠障害、不快感

200~300m以内

疲労感

そういった携帯電話の人体に与える影響から、世界の国では、特に、まだ身体の発育が未熟な子どもへの影響を懸念して、子どもに対する携帯電話の規制や勧告などが行われています。しかし、日本では小さな子や小学生に携帯電話を持たせるのも珍しくありません

各国の子供に対する携帯電話の規制、勧告、要請一覧

ロシア     16歳以下の子供は携帯電話を使うべきではない。

イギリス    8歳未満の子供には携帯電話を使わせないように。

フランス    12歳未満の子供用携帯電話の全ての広告を禁止。

オーストラリア 10歳未満の子供を販売対象にしない。

カナダ     8歳以下の子供たちには固定電話を。

アイルランド  16歳以下の子供には携帯電話を使用させないように。

インド     16歳未満の子供の携帯電話使用、販売禁止。

オーストリア  クリスマスプレゼントに携帯電話はやめよう。

ベルギー    7歳以下の子供への携帯電話の販売は、店頭でもインターネットでも禁止。

日本      小中学校への持ち込みは原則禁止。中学校では一部解禁のところもでてくる。

屋内配線から発生する電磁波
  床下や壁の内側を通る屋内配線からは、電磁波が発生しています。電化製品の場合、電磁波はコンセントに差し込んでいるときしか発生しませんが、屋内配線の場合は一日中ずっと発生し続けています。家にいる限り、電磁波に囲まれている状況になりかねないのが、現代の住まい。屋内配線はブレーカーを落とさない限り常に
電圧がかかっているため、配線が重なった場所は、特に強い電磁波が発生しています。


外部環境から電磁波影響

外部環境には、電力会社の地下送電線や変電所NTT、NHK、放送局、建設省の緊急避難用電波塔、そして携帯電話会社など電波塔があります。日本のように、狭い土地に人口が密集し、電力使用量や携帯電話の普及台数が世界でも高を誇る国では、所構わず高圧線鉄塔や電波中継塔が乱立しています。高圧線や電波塔の真下や周辺に民家が密集したりするのは日本だけです。 

高圧送電線鉄塔や電波塔の建設による、健康被害や健康不安に対する地域住民の建設反対や撤去の運動が全国的に拡大しています。これらの鉄塔からは、人体に有害な電磁波が放出されており、欧米では十年以上も前から 電磁波の人体に与える影響を疫学調査し、住宅・保育所・幼稚園・学校・子どもの遊び場・オフイス等の建設に厳しい規制をしています。近くに鉄塔が無くても、窓を開けると目の前に高圧送電線が通っている場合や地下1.5~2mに埋設された地下送電線近くに居住している場合には、鉄塔付近に居住する以上の電磁波被曝を受けています。日本では電磁波規制がなく、それどころか逆に電力業界と電機メーカーは家庭用電圧を現在の100ボルトから200ボルト級、400ボルト級まで引き上げることを計画し、15年ほどかけて実現を目指す方針ですすでに通常の家庭用電圧(100ボルト)の倍で動く「200ボルト家電」が家庭に浸透し始めました洗濯乾燥機やクッキングIHヒーター、エアコンなど「ハイパワー」を売り文句とした家電製品が普及しています。発電所でつくられた高圧の電気は最終的には自宅近くの変圧器で200ボルト及び100ボルトにされて家庭に送り込まれています。すでに分電盤が100ボルトと200ボルトの両方に対応できるタイプになっている住宅は多く、コンセントまでの配線工事さえすれば200ボルト家電が使えます電力業界が提言している、電柱までを2万2000ボルトまで増やし家庭へも200ボルト級や 400ボルト級で届くように求めている高電圧構想が、我々の知らない間に実行されています「ハイパワー」家電は健康への「ハイリスク」をもたらします。ちなみに世界の電圧はEUが220ボルト、米国 120ボルト、カナダ 110ボルトです。狭い日本の住宅で200ボルト級、400ボルト級にする必要性と健康への影響を考えると極めて危険であると言わざるを得ません。



携帯電話の基地局の危険性

電波によって、携帯電話、スマートホンで通話できるのは、携帯電話の端末と携帯基地局が電波で結ばれるからにほかなりません。ただ、電波による光信で欠くことのできないのがアンテナです。発せられた電波は、

アンテナで受け止められます。携帯電話の普及と、初期の圏外の改善には、基地局設置が伴っており、全国どこでもほぼ通話が良好となった背景にはこの基地局の過剰な乱立があります。そのことによって、近隣住民の健康影響が報告されています。


事例として、

神奈川県横浜市

横浜駅からJR根岸線で約20分。洋光台駅と港南台駅のほぼ中間に広がる丘陵地帯周辺でガンや白血病で死亡している人が多発しており、年でガンで死亡する人が増え40~50才が多いという。丘陵地帯から1.5キロほどの住宅に住む主婦が乳ガンになり、隣の奥さんも乳ガンで亡くなり、斜め向かいの奥さんは白血病で、その隣の奥さんは膠原病で、さらにお医者さんが肝臓ガンで亡くなり 奥さんも乳ガンで手術をしたというように辺り一帯進行ガンで亡くなる人が多発しているといいます
 これは、丘陵の尾根沿いに、海上保安庁、NTT、NHK、FM放送局、建設省の緊急避難用電波塔、携帯電話会社など6基の各種電波塔が住宅地を睨むように乱立しており、さらに住宅地の真上には15万7千ボルトの高圧線も通っておりマイクロ波と低周波の複合電磁波による影響と考えられます。
 ガン患者の異常多発は、6基の電波塔から、西側1キロほどの所に位置する 団地でも同様にガンで亡くなっている人は、男女を問わず、圧倒的に多く、住宅地内の多くの住民が、ガンの多発と電波塔から発せられる電磁波の関係を疑い始め、NTTドコモが建設予定の7基目の巨大鉄塔(無線中継塔)の建設反対に3千人の住民が反対署名を横浜市に提出し、郵政省、県、建設省などにも電磁波の危険性を訴え、鉄塔建設計画の中止を要望したといいます

②徳島県三好郡

 携帯基地局からの無線電波による被害の例としては、徳島県三好郡で基地局が建設されて1ヶ月位でミツバチが40箱死滅したり、池の鯉が死滅するという現象が現われ、6ヶ月後には地域住民の体調にもさまざまな症状(差し込むような頭痛、血圧上昇、脈拍上昇、うつ状態、目の異常、フラフラして歩きにくい、卒倒、体重減少等)が現われ、住民のうち7名が血中セロトニン濃度を測定したところ、7名ともに0.01マイクログラム以下で正常値(0.04マイクログラム) の4分の1以下で「電磁波過敏症の疑い有り」と診断されました。 これらの症状や検査結果は欧米で報告されている電磁波障害と一致しており 米国カリフォルニア州マリン郡のレーダー基地周辺は乳がん発生率が世界一で、この電波塔からの電磁波による影響が、三好郡のケースとあまりにも酷似しています。

電磁波が人体に及ぼす影響
慢性疲労性症候群・・パソコンや携帯電話の普及により、現代の慢性疲労性症候群患者の95%は、 電磁波過 敏症によるものだという報告があります。

アトピー・アレルギー・・電磁波は静電気も発生させ、静電気により、浮遊粉じんが集まり、 皮膚が反応してしまう場合があります。


電磁波過敏症

身近にある掃除機や洗濯機、ドライヤーなどの家電製品を使うと超低周波電磁波が発生します。また携帯電話を使えばマイクロ波に被曝することになります。電磁波過敏症とは、これらの電磁波に被曝すると、めまいや頭痛、吐き気、不眠などの症状が起きる病気です。スウェーデンやドイツ、デンマークなど、ヨーロッパ諸国では社会的に認知されつつあり、 健康保険の対象として治療が進められています。また、化学物質過敏症の併発も懸念 されています。化学物質過敏症とは、微量な化学物質にさらされることで、頭痛や吐き気、倦怠感などさまざまな症状が現れる病気です。例えば、シックハウス症候群です。防蟻剤や接着剤、塗料などから発生する軍発性有機化合物(VOC)によってダメージを受け、住人に皮膚のかゆみ、粘膜の刺激や乾燥などの症状が現れること。

発症をきっかけに、多様な化学物質過敏症に反応する多種化学物質過敏症になるケースもあります。電磁波過症は、化学物質過敏性との併発率は42%。症状は、日焼けのような炎症、頭痛、吐き気、筋肉痛、頻脈など多岐 に渡ります。人によって症状が違う上に、症状の重さもさまざまで、症状が一つしかない患者もいれば、複数の症状に苦しむ患者もいます。調査した団体によると、女性が8割を占め、男女とも30〜50代の患者が多いようです。

電磁波による健康被害は、いわゆる「医者が治せない病気」であり、こうした事例が報告されていることは、否定できない事実です。電気が増えたことによる副作用としての、こういった健康影響は、住環境における電磁波と外部における周辺の電磁波が原因なのです。「便利さ」という電気の恩恵でありながら、言い換えれば電磁波と「便利さの代償」なのです。


本は世界一電磁波が強い国
 電磁波の磁場強度は、ミリガウス(mG)という単位を用いますが英国、米国と比較しても日本の住宅環境がいかに危険な状況に置かれているかが以下でわかります。
 英国: 2mG以上の地域の人口 0.5%以下
 米国: 5mG以上の地域の人口 5.0%以下
 日本:50mG以上の地域でも人口が密集している。

 電磁波は、全ての電化製品から有害といわれる数値の数倍~数十倍漏洩していますが、電磁波は対象物から一定の距離を置くと極端に減衰します。しかしながら送電線や電波塔からの電磁波は眠っている間も容赦無く広範囲に漏洩し全身被曝から逃れることは不可能です。
 また日本家屋、特に木造の住宅から強い電磁波が出ていることが長年の測定でわかりました。つまり、日本の住宅は世界でもトップレベルで電磁波の影響を受けやすい住宅になっているということです世界の水準は安全性を確保にしているのに、日本だけ問題でるとはいったいどういうことでしょうか

4つの問題点
1.アースなしコンセントおよびアースなし家電問題
2.多量の電流問題
3.多量の電気使用量と配線過剰と位置問題
4.長時間接触電気機器問題

少ないアース付きのコンセントおよび家電問題
まずひとつは、日本の電圧は100ボルトで欧米とは電圧が異なりアースを取らないのが日本の標準です。欧米では20の電圧でアース処理されています。同じ製品を電気で動かす時に100ボルトと200ボルトでは消費する電力が倍違います。日本はアースを取らないので圧倒的に電場、磁場の影響が大きくなります。アース付きコンセントやアース付き家電が少ないため電場が多く出た状態で使われることになります。法律の制限がないという理由も電磁波の強い住宅ができあがってしまっている要因です。日本の住宅の電圧は100Vが中心です。ヨーロッパや中国など200V以上としている国では、感電死の危険を避けるためにコンセントにはアースが付いています。日本の場合、電圧が100Vと低く、万一感電しても死ぬ危険が低いために、アースが義務付けされなかったと思われます。

また、アメリカやカナダのように電圧が120V近くと低い電圧の国は他にもありますが、これらの国は訴訟社会のため、訴えられる危険を減らすために最初からアース付きの住宅とするようです(仮に電気火災が起きた場合、アースなしの住宅であれば火災保険料が下りないと聞いたことがあり、このようなリスクを減らすためと思われます)。結果として日本のみアース付きコンセントが普及せず、電場の高い住宅を作る結果となっています。

 


多量の電流問題
日本の住宅の電圧は100Vと低い設定になってい。このために流れる電流は逆に多くなります。それはこのような仕組みのためです。

消費電力(W:ワット)=電圧(V:ボルト)× 電流(A:アンペア)
消費電力は使う家電などの器具によって決まっています。例えば同じ1000Wの消費電力の器具を使ったとして

も、電圧が100Vの日本と250Vの国では、流れる電流が大きく異なります。

日本 1000W=100V×10A
海外 1000W=250V×4A

同じ消費電力の器具でも、電圧が低い分流れる電流の量が多くなるわけです。その結果、磁場が大きくなります。電場は電圧が高いところで高くなりますが、磁場は電流の流れる量が多いところで強くなります。日本は電圧が低いため、流れる電流が多くなり、その結果磁場が強くなります。

多量の電気使用量と配線過剰と位置問題
電気使用量が多く、配線が多く、さらにその位置が悪いため電磁波の影響を受けやすくなっています日本の住宅はアースがないという理由で電場が、電流の流れる量が多いという理由で磁場が強くなりがちです。これらの理由に加え、日本の住宅は電気配線が長く、家全体に張り巡らされていることがさらに問題を大きくしています。

電気製品の数が多いため、部屋の至る所にコンセントがあります。当然そのコンセントまで電気配線が引かれているため、壁の中や床の下を数多くの電気配線が通っています。電気配線の長さは35坪の一戸建てで950mにもなると言われています。家によっては、1Kmもの長さの電気配線に囲まれているケースもあるといいます。これは電気製品の数の多さに加え、照明の多さも影響していると思われます。海外の家で、そもそも天井に照明が無い家があったりするように、部屋の照明はスタンドだけで、天井には照明を付けないという国あるようです。それに比べると日本の住宅は天井に照明がないというケースはあまりありません。1階の天井に照明があるということは、2階の床下に電気配線が通っているということになります。最近の住宅では天井高を高くとるために、1階の天井と2階の床の間を薄くし、1階の天井高を稼ぐケースもよくあります。その場合、狭いスペースに配線が押し込まれるため、2階の床材と電気配線との隙間があまり取れません。そのため、2階の床の電磁波、特に電場が強くなることがよくあります

幹線の位置によって強い磁場を住んでいる人に与えることがあります普通の床上は問題が無くても、幹線の上の床は磁場や電場が高いことがあります。さらにその配線の位置です。通常のコンセントにつながっている電気配線はまだしも、外からの電気引込線から家の分電盤までつながっている幹線は大きな電流が流れています。そのためその幹線の近くには大きな磁場が発生します。これが寝室や子供部屋から遠ければ問題になりにくいですが、寝ている頭のすぐ近くを通るようですと問題です。ですが、実際にこの幹線がどの場所を通るかはほとんど把握していません設計図書を見ても、正しく電気配線の位置を示しているものもあまり多くありません。電気工事士にお任せしてしまうことが多いからです。電気工事士も工事費や作業日程の問題からなるべく簡単な工事で済ませたいと考えその結果、悪意は全くないのですが、滞在時間の長い寝室の横や下に幹線を引くことになってしまいますこれらの理由で、電磁波の多い家ができあがっていくことになります。



長時間接触電気機器問題
さらに日本独自の問題があります。それは長時間接触する家電が多いことです。長時間接触する機器の代表はパソコンで、これは日本だけに限りません。しかし日本ではこれに加え、ホットカーペット、電気毛布、電気こたつ、マッサージチェアなどがあります。また、一部の床暖房でも電磁波が強いものがあります。この電気毛布の電場は510V/mでした。基準の25V/mから見れば20倍以上です。これらの機器は電磁波が強いだけでなく、長時間人の体に触れているため、大きな問題となることがあります。こたつはもちろん日本独自のものですが、電気毛布やホットカーペットもあまり海外では見られません。これらの商品は使用していて大変気持ちの良いものですが、電磁波ということを考えると体に良いものではありません。


電磁波対策住宅とは
  電磁波対策住宅とは、建物から発生する電磁波シャッアウトした住宅のことです。家にあるパソコンや携帯電話から電磁波が出ていることはもちろんのこと、もうひとつ電磁波の発生源があります。それは「家」そのものからです。しかも、昔の家よりも新しい家のほうが電磁波が強くなっているのです。
  一般家庭の電気の消費量1軒あたり、わずか50年で10倍以上になりました。電気をたくさん使うために、建物も変化しています。建物の内部には、外の電柱から各部屋へ電気を運ぶための屋内配線が通っていますし、家電製品のプラグをコンセントに差し込む電気は、このコンセントの先(壁の内側)から配線しています。 屋内配線は室内の壁のなかを縦横無尽に張り巡らされています住宅新築時にはコンセント設置数と照明器具設置数の増加に伴い新築住宅1軒あたりの電気配線総長さが30年前に比べて平均6倍と言われています。さらに上述した通り、コードの長さをみると、今はなんと1m以上、昔の7倍の量のコードが使われているのです



電磁波対策 身を守る方法
もっとも簡単な電磁波対策は、対象物から離れることです。電場を測定すると、対象物からの影響に比例して数値が下がります。テレビは通常数十メートル離れて見るものですし、電子レンジや冷蔵庫も常に近くにいるわけではありません。ですから、パソコン、携帯電話 スマホなど一部を除くほとんどの家電製品にはこの対策が有効ですし、日常的にこういった家電製品からの電場の影響は少ないと言えるでしょう。ところが、家はどうでしょうか。家の壁や床は、つねに体の一部が接しています。そこから距離をとることは不可能です。
では、離れることが出来ない場合はどうしたらよいのでしょうか配線や家電からの放電影響を減らす家づくり
ためにまず、電場・磁場の影響を極力最低限に抑える設計施工をお願いしましょう


新築における施工設計
新築住宅の場合、建築前に電磁波対策として、壁の中に電気配線を通したり、アース線を確保したりできます。新築時は建築後だと見えなくなる場所に施工可能だからです。建築後施工しようとすると壁を壊することになり、多額の費用が必要となります。新築建築時であれば少額費用で効果の高い施工を計画することが可能です。例えば、電磁波遮断シート施工してもらったり、電気配線位置を部屋外に集約家電を使う各所のコンセントをアース付きコンセントたりできます。費用面からみても格安な電磁波対策になります。こうすることで、電気を地面に逃がす事が出来るようになるので、感電・落雷被害・ノイズ・電磁波・通信障害などを防ぐ事ができます。また家具配置なども考えて、コンセント計画は綿密にして余分なコンセントを無くす事も重要です。また電柱から家への電気線引き込み口を配慮したり、電磁波測定器を使って数値を測定して配置等を考えるようにしてもらいましょう


住宅周辺の確認
現在の住まいもしくはこれから家を建てる地域には、放送局携帯電話会社など各種電波塔電圧線などがないかを確かめることが不可欠です。また携帯電話の電波塔はいまなお乱発され、地域住民の反対運動が起こっているところもあります。そういった建設予定地が周辺にあるのかも念のため、調べておきたいところです。そして、実際に該当する地域だった場合は、十分な検討と対策が必要になります。
 また電車が通過する線路沿いはこの危ない地域に該当するのかということについては、最初図の通り、鉄道の電磁波は、静電磁波~中間周波電磁波での水準あり、安全で。ただ、この幅は、鉄道といっても、電線、電子監視装置、改札など、家電製品がそれぞれ違うように、設置されている装置や部品、車種が様々あることによって、それぞれ違いがあり測定が困難になっています。絶対安全とは言い切れませんが、ただ、最新の試行運転中の超電導のリニアモーターカーは、国際的なガイドライン(ICNIRPガイドライン)で定められた基準値以下のもとに、さまざまな対策を施し、磁界を管理しているため健康への影響はないとしています。基準値は人体への影響が生じる可能性のあるとされている磁界レベルの1/5~1/10程度の厳しい数値に設定されています。(下記図参照)電車や周辺への影響について、関係各社は多大な配慮を行なっていることに間違いありません。ただ線路沿いの場合は、電磁波の他、騒音、振動という大きな別の問題も同時に含んでいるため、容易には判断できないところがあります

リニア沿線での測定結果

車両速度

測定箇所

最大周波数

最大測定値

ICNIRP
ガイドライン値

0km/h
(停車時)

線路脇4m

0Hz

0.19mT

400mT

高架下8m

0.02mT

500km/h
(走行時)

線路脇4m

6Hz

0.19mT

1.22mT

高架下8m

0.02mT

電場をカットするためのアース
もうひとつの対策はアースです。地面に打ち込んだ金属棒を通して、電気の逃げ道を作ってあげることを「接地(アース)」と言います。アースは余分な電気を逃がし、感電防止などの役割を果たすためのものですが、実は結果的に発生する電場を抑制しますすなはち、電気と電場をも逃してくれるのです。壁・床・天井に張り巡らされている屋内配線からの電磁波は、様々な部材を伝わって伝播し、身体の表面を覆うのです。電磁波の室内への侵入を防ぐために、アースをする必要があるのです。アースの目的は電気の安全性という視点からも電磁波を避けるためにお部屋のコンセントにアース付コンセントを施設することを推奨します日本は2口コンセントが主流ですが、欧米のコンセントは3口で、3つ目の穴はアースのためのものです。日本では今のところ、水周りなど一部を除いてアース付コンセントは見られませんが、アースをすることによって家電製品からの電場は簡単に削減することが出来ます。


おわりに
日本の生活環境において電磁波は身の周りに予想以上に溢れています。しかし、電磁波を目で見ることはできません「電磁波」と聞いて、「身体にとってよくないもの」という認識を持っている人は多いのですが、その対策らしきことをしている人はほぼいないというのが現状です。人間は、目や耳で感じられないものに意識を向けることが難しくできているようです。住宅を購入したり転居した後に、これらの悪環境に気が付いても手遅れです。電磁波に対する正しい知識と対策を備えることが「転ばぬ先の杖」となります。

参考

電磁波・化学物質過敏症対策 増補改訂」大久保貞利著 緑風出版 2018年10月

「電磁波過敏症」加藤やすこ著 緑風出版 2004年11月

「電磁波による健康被害」加藤やすこ著 緑風出版 2015年7月

「ルポ最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線」黒数哲哉著 花伝社 2014年12月

電磁界情報センターHP 他

台風に強い注文住宅とは?

はじめに

 ここ数年、台風は、毎年のようにわが国に襲来し、きわめて大きな災害をもたらしています災害の激甚化といわれていますが、その中でも台風の脅威は、川の増水、氾濫、土砂崩れ、交通網の断絶、農作物への被害、家屋の倒壊など多岐にわたり、その被害は、社会、地域のインフラを機能不全にすることのみならず、個人の財産や生命まで危険にさらしています。特に、最も被害が多いのが、私たちが住んでいる床上浸水、床下浸水、損壊、半壊、全壊です。

それでは過去の台風被害をみましょう。

 下の表は、日本に大きな被害を与えた台風の例として、昭和に死者・行方不明者数が1,000人を超えたものと、平成になってから死者・行方不明者数が40人を超えたものを取り上げたものです。この表から、9月に来襲した台風が大きな被害をもたらしていることがわかります。これは、9月は8月に次いで上陸数、接近数が多いうえに、この頃には日本列島付近に秋雨前線があり、台風の東側をまわって前線に流れ込む湿った空気が前線の活動を活発化させて大雨を降らせる場合があることも関係しています。

台風名又は台風番号

人的

住家

上陸・最接近年月日

死者
(人)

行方
不明者
(人)

負傷者
(人)

全壊・
流失
(棟)

半壊
(棟)

一部損壊
(棟)

床上浸水
(棟)

床下浸水
(棟)

室戸台風

2,702

334

14,994

92,740

401,157

1934921

枕崎台風

2,473

1,283

2,452

89,839

273,888

1945917

カスリーン台風

1,077

853

1,547

9,298

384,743

1947915

洞爺丸台風
(昭和29年台風15号)

1,361

400

1,601

8,396

21,771

177,375

17,569

85,964

1954926

狩野川台風
(昭和33年台風22号)

888

381

1,138

2,118

2,175

12,450

132,227

389,488

1958926

伊勢湾台風
(昭和34年台風15号)

4,697

401

38,921

40,838

113,052

680,075

157,858

205,753

1959926

平成2年台風19

40

131

16,541

18,183

1990919

平成3年台風19

62

1,499

170,447

22,965

1991927

平成5年台風13

48

396

336

1,448

不詳

3,770

不詳

199393

平成16年台風18

43

3

1,399

144

1,506

63,343

1,328

19,758

200497

平成16年台風23

95

3

721

907

7,929

12,514

13,341

41,006

20041020

平成23年台風12

82

16

113

379

3,159

470

5,500

16,594

201193

平成25年台風26

40

3

130

86

61

947

1,884

4,258

20131016

 

(理科年表消防白書による)   

上陸数が多い都道府県

順位

都道府県

上陸数

1

鹿児島県

41

2

高知県

26

3

和歌山県

24

4

静岡県

21

5

長崎県

17

※統計期間:1951年~2019年第29号まで。

(出典:気象庁ホームページ「台風の発生、接近、上陸、経路」

また、上陸県をみると比較的に西日本に集中していますが、近年の傾向を見ても、台風による記録的な被害は、西日本に限らず、全国各地で、年々増加しています

それではまず、台風の強さと建物の関係を考えていきましょう。


台風の強さ
ニュースで、「平均風速」や「最大瞬間風速」という言葉を耳にすると思います。この「平均風速」とは、10分間の平均、「最大瞬間風速」は 3秒間の平均値である瞬間風速の最大値で、この値と被害の関係は表1のようになります。なお、平均風速に対して瞬間風速は 1.5倍3倍程度になります。

【表1 風の強さと建物被害】

風の強さ
(予報用語)

平均風速
(m/s)

瞬間風速
(m/s)

建物の被害

やや強い風

10以上
15未満

20

樋(とい)が揺れ始める

強い風

15以上
20未満

屋根瓦・屋根葺材がはがれるものがある
雨戸やシャッターが揺れる

30

非常に強い風

20以上
25未満

屋根瓦・屋根葺材が飛散するものがある
固定されていないプレハブ小屋が移動、転倒する

25以上
30未満

40

固定の不十分な金属屋根の葺材がめくれる
養生の不十分な仮設足場が崩落する

猛烈な風

30以上
35未満

50

35以上
40未満

外装材が広範囲にわたって飛散し、下地材が露出す
るものがある

40以上

60

住家で倒壊するものがある
鉄骨構造物で変形するものがある

※気象庁ホームぺージより引用
建物を建てる時の基準となる建築基準法では、過去の台風の記録に基づいて構造計算で用いる風速(基準風速)が 30m/s~46m/s の範囲で決められています。表1と見比べると、建築基準法では、瞬間風速で 40m/s~60m/s の猛烈な風を想定していることになります。これを地震対策でいう「耐震性能」と同じく、風対策でいう「耐風性能」という評価基準になります耐風性能は、1,2という2つのランクがあり耐風性能1はこの建築基準法レベルにあたります。耐風性能2は、その1.2倍の耐力を持つ基準です。竜巻のような異次元の強風は別として、風速50m、60mの風でも、建物そのものが飛ばされることはないようなレベルとなっています。

屋根や外壁が飛ぶ力の原理
台風によって強い風が吹くと家には、図2のように、大きく分けて 3つの力がかかります。

     【図2 台風によって建物にかかる力】


① 屋根を持ち上げる力 ② 軒先を持ち上げる力 ③ 建物に横から(水平方向に)かかる力

 主に、屋根が飛ぶ原因となる力は①と②で、外壁が飛んだり損傷する原因となる力は③となります。そして、飛散物によって窓ガラスが割れてしまうと、室内に風が吹き込み、この風が室内から屋根を持ち上げようとするため、屋根が飛んでしまう可能性が上がります。窓ガラスが割れない場合であっても、図2の〇で囲んだ軒と桁(梁)の留め付け部分には屋根を持ち上げようとする力がかかります。

それでは、これらを参考にしながら、住宅の風水害の事例を検証していきましょう。


浸水被害

床からの浸水

・半地下や地下室が設けられた居室の浸水

前面道路より階段12段ほど下がった玄関などの浸水

・バリーアフリーの観点から、基礎を低くしている(ベタ基礎)住宅の浸水

※基礎とは建物の土台となる鉄筋コンクリートなどことで建物と地面のつなぎの部分を指します。

床下換気口からの浸水

バルコニーからの浸水

浸水原因

床からの浸水による事例は人為的に低地を作っていることが原因です。半地下や地下室は都心部に多く、狭小敷地で居住空間を少しでも確保するために作ったものであり、前面道路よりも低い玄関はデザイン性を重視したからです。バリーアフリーとはいえ、昨今の水害で老人ホームや介護施設で大きな被害が出ているのは、このフラットの設計は、の侵入を容易にしてしまうという欠点を浮き彫りにしています。床下換気口は、床にこもる湿気対策のため、建物の基礎部分にうがたれるもので、雨が降ると水が溜まりやすく、雨水が入りやすくなります。またバルコニーは、普段、鉢植えや荷物などを置いたり、排水口の詰まりによって室内に浸水が起こります。

浸水対策

 設計上で、デザイン性を重視しすぎず、浸水に備えた強い設計になるように施工主と

バルコニーの排水口は、ゴミなどが溜まり、詰まりやすいため、こまめな掃除といったメンテナンスを行うましょう。床下換気口には、換気口をふさぐための止水カバーをつけることもできますしかし、これを常時つけておくと、湿気がたまり、白アリの発生など悪影響を及ぼします。最近では最初から床下換気口がない基礎と土台の間に樹脂製や金属製の基礎パッキンを敷きこむ基礎パッキン工法がありますそれですと床下の換気が可能になります


ガラス被害

強風によって飛来物が窓を破壊

雨桶が壊れ外壁や窓から雨漏り

ガラス被害の原因

平均風速20m/s以上になると、看板の落下や屋根瓦、屋根葺材が飛ぶなど被害が出始めます。強い台風では飛来物で窓ガラスが割れる危険性が高くなります。ガラス破片でケガをしたり、雨が吹き込んで腐食やカビが発生し高額な修理費が必要になることもあります。また割れた窓ガラスから暴風が室内へ一気に流れ込み、家の屋根が吹き上がってしまうという被害もあります

また雨桶は、配管を接手と金具で簡単に固定しているだけで強い力が加わるとすぐに破損します。そうなると窓ガラスや外壁に雨水がかかり汚損の原因になります。

ガラス対策

窓ガラスを守るためシャッターや雨戸を取り付けることがよいです寝室やリビングなどに計画されがちな大きなサッシにはシャッターつけます。吹き抜けなどの高い位置の大きなサッシには、電動シャッターという方法もありますまた近年、ハウスメーカーのデザイン重視の建築が増えて、シャッターの採用率が非常に少なくなってきましたが、あらためて積極的なシャッターの計画を再考しなければならないです。大型の台風が来て、飛散物でガラスが割れる被害が多く発生すると、サッシ業者にはガラス交換の依頼が殺到しなかなか修理できるまでに時間がかかります。割れたガラス窓を段ボールやテープで塞ぐ手もありますが、冬場は寒さに凍え、夏場は暑さや虫の襲来に悩まされます。そこでシャッターがつかない形状の窓や小さな窓ガラスなら、ガラスに飛散防止フィルムを貼ったり、「網入りガラス」や「防犯ガラス」を取り付けるとよいですたとえ飛散物がぶつかり、ガラスが割れてしまっても原型は留めていますので、修理までに時間がかかっても何とかしのげます。ただ「網入りガラス」や「防犯ガラス」は強度が高いわけではなく、強風で固いものがと飛んでくれば、割れてしまいます。そこでごく小さな窓を除き、すべての窓に雨戸をつけることが、最善策です。


屋根被害

屋根から雨漏り

・片流れ屋根(屋根が一方向だけ傾いている屋根)から雨漏り

・陸屋根(ほとんど勾配がなく、平たい形状)から雨漏り

屋根瓦が吹き飛ばされる

屋根被害の原因1、雨漏り

屋根の形状によって、片流れ屋根と陸屋根は比較的雨漏りのリスクが高いといわれています。片流れ屋根は、雨が一方向に流れることから、雨桶への負担が大きくなり、軒がないほうの外壁が劣化しやすい傾向があります。

太陽光発電パネルを設置しやすいことでも人気で、それがかえって雨漏りの引き起こす原因にもなりえます

陸屋根は見た目のシンプルさや屋上が使えることから人気が集まっていますが、傾斜がない分、水が長期間滞留しやすく、傷みやすいというデメリットがあります。また屋根に天窓をつけることも、屋根の一部に穴を開けて設置することになるので部材の劣化するスピードが早くなります。

屋根被害の原因2、飛ばされる

屋根が飛ばされる理由として、築基準法や、メーカーが保証している基準の風速を超える想定外の風を除

き、屋根の下地材を受けている垂木という部材が建物に十分に緊結されていなかったり、正しい施工基準に基づいた屋根材の施工がなされていないことがありますまた元々屋根の下地材(野地板)が腐朽していて釘の保持力が低下しているということもあります築年数の古い一戸建て住宅で損傷しやすいのが屋根です。屋根が強風で吹き飛ばされ、損傷部分をブルーシートで覆っている光景を何度もテレビで見たことがあると思います。そのため「屋根瓦=風害に弱い」というイメージが強いかもしれません。瓦はきちんと固定してないと強風で飛びやすく、吹き飛ばされると周辺の建物を傷つける2次被害も発生します。

屋根対策 1、雨漏り

屋根の上は、目が届きづらい場所なので、排水口が詰まって雨漏りするケースも非常に多いです。様々な屋根がある中で、寄棟屋根、切妻屋根は、雨漏りのリスクが低い構造をしています。寄棟屋根は頂点から4方向に傾斜する屋根です。様々な建物に対応できる形状となっています。また切妻屋根は、その形状の関係上、室内の構造が三角になります。古くからある屋根の形状で、伊勢神宮や出雲大社などの建物の屋根もこの形状で作られています。いずれも傾斜が幾方向にあり、雨が分散して流れるため、雨漏りしにくい構造になっています。

屋根対策 2、屋根が飛ばされないために
屋根が強風でも飛ばされないためには、垂木をしっかりと建物の構造体に緊結し、下地材が腐らないように計画し、正しい施工手順で屋根を葺くことで実現していきます屋根材どんな屋根材でも、その屋根材に合った正しい施工をしていれば、そう簡単に被害にあうことはありません。ただ、職人さんの経験不足からくる施工知識の乏しさ手抜きなど施工にあたる職人さんの技量がとわれます 

  また屋根の下地材の状態は外から見えないことが厄介です。仮に相当傷んでいても、屋根の上をよく歩いて見ない限り、下地材の腐朽を疑うことは難しいです。しかしながら下地材が腐朽していると、たとえ正しい施工で屋根材が葺かれていても、釘やビスの保持力がなくなり台風などの強風で屋根材が飛ばされてしまうのです。屋根の下地材が腐朽してしまう理由には、直接的な雨漏りによる腐朽通気不足による結露からくる腐朽という2つ原因があります。

直接的な雨漏りによる下地の腐朽を防ぐ方法
屋根の大きな役割である防水については、屋根の仕上材と防水紙の2つが担ってます。屋根材の裏にもし雨水が回り込んでも、下地の上に貼ってある防水が最後の砦となって雨漏りを防ぎます。ですから、「防水紙」が非常に重要な役割を担っているのです。雨水がこの防水紙を突破し下地材に到達すると、雨漏りしてしまうだけでなく急速に腐り始め、屋根の仕上げ材の固定も弱くなり台風で被害を受けてしまうことになります。屋根の勾配や工法によって性能とコストのバランスをよく考えて最適解の防水紙を選択したいものです。

通気不足による結露からくる腐朽を防ぐ方法
屋根の裏側(下側)には小屋裏と呼ばれる空間があります。通常デッドスペースになっていて、普段目にすることがない空間ですが、建物で一番高い部分の空間なので、常に温度が高く湿度も高い空間です。季節によって結露し下地材を腐らせますので、十分通気させることで結露を防ぐ必要があります。建物完成後、数ヶ月で結露により下地材が腐ってしまった例は多々あります。この対策は、建物の設計・施工の問題ですので、設計の段階でしっかりと計画することが大大切です。

構造金物
屋根の仕上材だけでなく、屋根の下地材飛ばされてしまいます。強風時には、屋根面に非常に強い風圧がかかりますので、その力に耐えうる構造でなければなりません。屋根の下地材を留めている垂木という部材がありますが、この垂木が建物としっかり緊結されていることが必要です。緊結には、通常「ひねり金物」や「くら金物」、最近では「タルキック」等という金物が使われます。構造金物の中では非常に地味な金物ですが、しっかりとした施工管理が必要です。

近年では、耐風性能が高い留め付け方の瓦などの屋根葺き材など開発されており、これらの商品を使うことで風によって家が損傷することを防ぐことが可能です。また95年の阪神大震災を機に2001年にガイドライン工法を策定され、それ以降に固定された瓦屋根であれば、安心です。瓦自体は耐久性に優れ、断熱性も高い屋根材なので、瓦全般を避ける必要はありません。


外壁被害

、庇のない家の雨漏り、外壁が劣化

※軒とは建物の外壁よりも外側に張り出している屋根の部分、庇は窓や玄関の上などに設けられる小型の屋根。

強風で外壁が壊れた

ブロック塀が風に飛ばされる

外壁被害の原因

最近、ハウスメーカーでは軒のまったくない、箱型の一戸建てや軒があるものの短いものが増えました。そのスマートな外見からデザイン面で人気があります。しかし軒のない住宅雨漏りや外壁の劣化が起こりやすくなります。また軒がないと直接、太陽光を浴びるため、いわゆる紫外線によって外壁の塗膜を傷つけます。塗膜は汚れや水をはじくバリアのようなもので、傷つけば、外壁の色があせて汚れ、風雨による損害を受けやすくなります。

また、風によって建物に横から力がかかると建物が傾きます。そうすると、外壁も同じように傾こうとするのですが、外壁が変形しにくいもの(例えば、モルタル塗り)や変形に追従できても外壁の留め付け方が十分でないと外壁が損傷するため、そこから雨漏りしたり、場合によっては、その隙間から風が吹き込むことで外壁が飛んで行ってしまいます

さらに、住宅の周囲のフェンスや塀も、風の被害を受けることがあります。特に危ないのが、1つの重量10キロほどのあるブロックを積み重ねた塀です。ブロック塀は中に鉄筋を入れたり、「控え壁」と呼ばれる支えをつけたりして、倒れにくくする工夫がされるようになっています。しかし、古い塀にはそのような措置が施されておらず、ブロックの間をモルタルで固めて積み上げただけのものが大半です。実際に大阪で近年、ブロック塀が倒れて小学生がなくなる事故が起きています。

外壁対策
建物の寿命を延ばすには建物に内部に雨水を侵入させないことが最優先です。外壁をなるべく雨に濡らさないようにすることが重要です。雨の多い日本で外壁をまったく濡らさないようにすることは不可能ですが、濡れる場所を減らすための工夫はできます。昔の日本家屋には必ずあった軒や庇をつければいいのです。軒や庇があっても濡れますが、日常レベルの小雨などでは建物全体が濡れにくくなります。

また、建物の傾き(変形)からくる外壁の損傷を防ぐには、横からの力に強い家=耐風性能・耐震性能が高い家を設計すれば抑えられます。なお、ニュースで台風によって倒壊した住宅は、これらの多くは築年数が古く、上記の耐風性能(=耐震性能)が低いことが原因の場合が大半です。


木造住宅は風水害に弱いのか

一戸建ての構造を大きく分けると、建材に木材を用いた木造住宅、柱や梁などに鉄骨を用いた鉄骨住宅、柱や梁、床、壁が鉄筋とコンクリートで構成されている鉄筋コンクリート造(RC造)住宅の3種類になります。河川が氾濫すると、決まって古い一戸建ての住宅が倒壊したり、濁流にながされたりする映像がニュースで流れます。致命的な被害を受けた住宅のほとんどは木造住宅です。木造住宅の構造は水に弱く、雨漏りなどが原因で内部が腐食することがあり、基礎や柱がもろくなり、家全体が倒壊したり、河川の越流で流されることもあります。

鉄骨造や鉄筋コンクリート造の住宅でも、風水害の被害がないわけではありません。それぞれ風水害に遭いづらく、強い建物を選んだり、メンテナンスを心掛けることが被害を受けるリスクを減らせます。

木造でも台風に強い家の構造とは木造住宅の強度は、鉄筋コンクリートや鉄骨鉄筋コンクリートにはやや劣る反面、吸湿性や断熱性に優れています。木造住宅には、夏季高温多湿となる日本の風土に合うというメリットもあるのです。また、木造であっても上述したポイントをおさえた住宅構造であれば、木造であっても台風に対して強さを持っています。木造であっても耐久性に優れた家は多いです。「木造だから必ず台風に弱い」と一概にはいえない部分もあります

まとめとおきましょう

台風に強い家づくり

位置

風水害

対策

浸水

人為的な低地を避ける設計

換気口/バルコニー

浸水

排水口の掃除などのメンテナンス

ガラスの破損

サッシ、雨戸の設置

屋根

雨漏り

風水害に強い屋根の形状を選ぶ

 

飛ばされる

風に強い留め付方法や屋根材を使う

外壁

雨漏り 劣化

軒や庇の設置

飛ばされる

倒れにくい支えや工夫



おわりに
 私たちの大切な財産である住まい台風で失いたくはありませんれから土地を購入して家を建てようとしているや、現在お住まい方地域のハザードマップを確認することをおすすめします。地区のサイトでハザードマップや地盤サポートマップなどを見ることができます。その土地の標高地形地質避難所の場所浸水の可能性地震時の揺れやすさ液状化の可能性土砂災害の可能性など、客観的にその土地の特性を知ことができます。毎年、他の地域で起こる災害を見て、いたずらに不安になるだけでなく、ハザードマップの活用で地域の特性を知り、日頃からの防災への意識を高め、非常食や防災用品等、準備するように心がけましょう。備えあれば憂いなし。私たち工務店台風に強い家づくりによって、皆様の安心、安全な暮らしをサポートしていきます。

参考文献
大震災・大災害に強い家づくり、家選び」井上恵子著(朝日新聞出版 2011年10月刊)
「マンガでよむ安心安全な最強住宅」早川義行監修(東京経済 2005年7月刊)
「災害に強い住宅選び」長嶋修/さくら事務所(日本経済新聞社 2020年5月刊)
HP

自然素材の家づくりと注文住宅の違いとは?

はじめに

家を建てることは「人生一度の高価な買い物」といわれています。それだけ多くのお金がかかります。さらに、どのような住宅設計を選択するかによって変わってきますが、場合によっては間取り、設備、素材、色など多く事柄決めなければなりません。それについて家族とじっくり話し合う時間必要となります当然ですが、一度決めたことを完成したあとに修正することは容易にはできせん。ほとんどの人は、この高価な買い物に対する知識や情報が足りていません。自分たちの一生を決めるといってもいい買い物を前に、もっと貪欲に知識や情報を集めましょう。そしてあなたが準備に時間をかけただけ、完成後、達成感と多幸感味わうことができるしょう


自然素材住宅は環境にいい

自然素材住宅が良いとよく耳にするようになりました。その理由は環境と健康と良いという2つの要素があります。環境は、社会ニーズでもあります。すでに買い物にいけば、エコバック持参やレジ袋有料化。海岸に捨てられたペットボトルが海洋生物の生態系を破壊することから水筒持参や紙パック商品の導入、ガソリンの排気ガスを減らすための水素エネルギーを使ったハイブリッド車や電気自動車など、環境への取り組みが日常的なところでも意識されるようになりました。 そんな中で住宅市場において、「自然素材」を使った自然素材住宅に注目が集まるようになりました

まず、自然素材住宅を構成する自然素材について、その種類をご覧ください。

<自然素材の主なもの>

  • 木材・・無垢材※製材されたままの単一材質でできており、文字通り混じり気のない材料のこと
  • 壁・・漆喰 ※消石灰、糊、スサを混ぜてつくる左官材料
       珪藻土 ※貝殻や海藻の化石に海藻糊などを加えてつくったもの
       和紙珊瑚
  • 新琉球漆喰沖縄の自然素材を原料としたもの
        薩摩中霧島壁※天然の火山灰・白洲の珪酸質成分を主成分とする
        断熱材・・羊毛、コットン、木質繊維
  • 接着剤(お米原料) ※木工用ボンドの4〜7倍もの接着力があるうえ、万が一口に入ったとしても食品が原料なので体に害をおよぼす心配なし
  • ホウ酸防蟻処理剤※シロアリと腐朽菌の防腐処理に使う。農薬系の薬剤とは違い、健康、空気環境に害なし。
  • 天然オイル※植物から生まれた天然成分の保護オイル
  • 床・・竹、
  • 屋根・・茅、ヒノキの皮
  • 畳・・天然イグサ畳

自然素材は、古くから日本の家で使われてきた素材です。天然の丸太をそのまま切り出した無垢材、海の地積を利用する漆喰や珪藻土など、自然に由来する素材です。人体に無害は勿論のこ、有毒物質を発しないため、自然と調和し、環境を汚すこともありません

日本の国土に占める森林面積の割合は、約70%にも達しています。日本の木といえば、スギヒノキマツなどは思い浮かべると思います。実は、これらの森林資源は有効に使われておらず、木材の時給率は30%程度にとどまっています。森林は適切な手入れをしなければ、荒れていき自然災害を引き起こす原因となります。本の木を使って家を建てるようになれば、山にも手が入り、森はよみがえります。緑が増えれば、温暖化の進行を防ぐことも可能です。環境保全と地域の林業を活性化することにも繋がります


健康を害する家がある

新築住宅に住み始めたら、体調がおかしくなったなど健康被害が報告されています。

以下は実際の症例です。

以下は実際

  • 化学物質によるシックハウス症候群(めまい、吐き気、疲れやすさ、鼻、のど異常など)
  • ハウスダストによるアレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎、
  • ヒートショックによる心筋梗塞や脳梗塞
  • 室温、湿度の温度差による体のだるさ、食欲不振、・肩こり、頭痛、イライラ、うつ病
  • 結露により異臭
  • 騒音による自律神経失調症

念願のマイホームを手に入れたのに、こんなことでは、人生が台無しです。家は住む人を元気にするはずのものが、かえって健康を害してしまっては元も子もありません。

それではどうして、このような事が起こるのでしょうか


健康被害原因とは

今の建築材のほとんどが石油から作られた接着剤を使った製品です。柱、土台、梁は木片を接着剤に貼り合わせた集成材。壁には薄い板一面に接着剤を塗って何重にも張り合わせた合板。木を小さな木片にしたり、粉末状に砕いて接着剤を固めたパーティクルボードなどの造作材が使われています。石油建材から絶え間なく出るVOC(揮発性ガス)は人の健康を蝕み、500万人といわれる人々がシックハウス症候群で苦しめられています。万一、火災が発生した場合、こういった家は全体が石油製品でできているため、多量の黒煙と猛毒ガスを発し、危険性が非常に大きいです。これらの住宅は、健康を害するおそれがあるということで、24時間換気システムを設置することが義務づけられています。

また、ずさんな施工や設計の甘さなどからも健康被害を引き起こしているケースも少なくありません。人が病気になる家は、当然、家の寿命も短いものです。日本の住宅は世界的にみても寿命が短く、日本と外国の住宅の平均寿命を比較してみると、イギリスが約77年、アメリカが約55年に対して、日本は約30年と言われています(建築白書)日本は湿気が多く、腐りやすいという風土の問題もありますが、家の腐食を引き起こす大部分は結露が原因です。結露の発生は、家の断熱性を低下させ、外気との温度差を生じさせ、カビの発生につがりますそれによって健康へ悪影響を及ぼすのです。


自然素材は健康にいい

自然素材最も代表的なものは無垢材です。土台や柱などの構造部分、床や壁などにも使用される材料です。天然の丸太をそのまま切り出した無添加、無機物、防腐剤不使用もちろん接着剤を使用していませんので、体にやさしいです。

  、貝殻や海藻の化石に海藻糊などを加えてつくった漆喰や珪藻土が使われます。調湿効果、断熱効果CO2吸収効果、建材に使われる塗料や接着剤に含まれるホルムアルデヒドなどの有機溶剤の吸収・分解といったはたらきがあ消臭性や防火性に優れています見た目にもやさしくあたたかみがあるのが特徴です。
 また、塗り壁には、和紙や珊瑚を使ったものや、コットンや麻、絹などの自然素材から生まれた壁紙などがあります。断熱材羊毛をはじめ、木質繊維やコットンなど種類もさまざまです。これまで一般的に使われることが多かったグラスウールは価格が安い反面、吸湿性が低く、結露ができやすいのが難点でした。 一方、羊毛を使った断熱材は、湿気を調整し、結露ができにくいのが最大の特徴。湿度が高いときには吸湿し、低いときには放湿して、部屋の湿度を一定に保ってくれます。

自然素材は、このように環境に影響され変化する性質を持っています。そのため、無垢の木は節がある、反りがでる、キズがつきやすかったりします。そして手入れの手間がかかることがあります。しかし手をかけた分だけ味わいや輝きが増すのも自然素材のいいところ。特別な手入れは必要なく、愛情を持って接することが、自然素材の家を長持ちさせるコツです。無垢材は年月を重ねるほど強度が増していくという特徴もあります。これら特有の個性であり、健康や心地よい暮らしのために、自然素材安全で安心な素材であることになんら変わりありません

 一方、化学合成建材は、例えば、内壁材には、石油から作られる化学製品ビニールクロス、外壁材は、サイディング、床材は、薄い板を重ね張りした合板フローリングなど。接着剤を多用した新建材です。現代の家づくりには、多く使われています。その理由は、汚れにくく、腐りにくく、品質にばらつきがなく、手入れが少なくてすむからです。しかし、前述の通り、接着剤や合成材などの有害物質によって、喘息やアトピーなどの健康への影響が懸念されています。

こんな材料を使っていていい家といえるのでしょうか。

それでは、環境と健康にいい自然材とそうでない建材特徴について確認しましょう。

それでは、環境と健康にいい自然材とそうでない建材特徴についてでみてみましょう。

伝統の建築

現代の住まい

主な業者・・工務店

主な業者・・建築家・ハウスメーカー

主な材料・・自然素材

主な材料・・化学合成建材(新建材)

無垢材・漆喰・珪藻土・竹、石、和紙・羊毛

ビニールクロス・合板・サイディング・樹脂塗装・鋼版

特徴

特徴

天然材料・材料が呼吸する

合成樹脂・材料が呼吸しない

塗装を行わない 職人技が要求される

塗装を行う 職人がいなくても施工が可能

メリット

メリット

見た目がよい 温かみがある 体にやさしい

汚れにくい、腐りにくい 品質にばらつきがない

保湿性が高い 経年変化が楽しめる

メンテナンスの手間がかかりにくい 価格が安い

デメリット

デメリット

傷ができやすい、隙間ができる

有害物質を発生させ、健康への懸念

そもそも各業者が宣伝する住宅設計にはいくつかの方法があります。その特徴について解説ししょう。


建売住宅とは

最初から間取りが決まっている規格住宅のことです。土地と建物がセットになって販売され、基本的には間取りや内装、設備の変更はできません。契約して入居までの時間が短いというメリットがあります。誰にとっても満足して暮らせるように設計されていますが、生活スタイルや家族構成は家族によって違いますので、自分たちの暮らしに合うのか十分な検討が必要です。


注文住宅とは

建築家やハウスメーカーなどに依頼してつくる家のことです。間取りや設備、内装、外観デザインなどゼロから自由に考えられます。構造、性能、素材、設備、色など決める事柄が多く、時間がかかる半面、一軒の家ができるまでの工程を踏む経験ができます。ただ、家づくりの専門的な知識が乏しいと、結果的におかしな構造になったり、健康被害を及ぼしたりするケースも報告されています。

建売住宅、注文住宅のいずれも日本の大手メーカーによるデザイン性が高く、見栄えの良さを重視した家づくりです。価格、外観、デザインなどにこだわりすぎるあまり、環境や健康に悪影響を及ぼすという残念な家が建っているのが現状です。建てるべきは「病気になりにくい」「住みやすい」「長持ちする」などという、そこに暮らす家族の健康と幸せを実現できかつ地域の環境にもやさしい家ですハウスメーカーの注宅設計の方法ではもはや適していません。そこで、ここまで述べてきたような選りすぐりの自然素材を使い、心と体を癒してくれる自然素材住宅こそが、まさに理想の家づくりなのです。


木を生かした木の家づくりの魅力とは

自然素材の中心は、木材です。その木材を生かした家とはどういうものでしょうか。イメージによっては、ログハウスのように材料のほとんど全部に木材を使った家を指すと考えている人もいます。木の家とは、木造建築の特徴である木の強さと耐久性、木目の美しさや温かさを生かした木材を使った家のことです。単にどこかに木を使うというだけではなく、骨組みに木を使い、日本の伝統的な家づくりのスタイルを取り入れた建物のことです。

木の家づくりに木材の他に欠かせないのは、職人さんたちです。例えば、大工さん、丸太や柱や板を切り出す製材業者さん、漆喰や畳などの自然素材の生産者さんなど、ほぼ手仕事によって完成します。職人さんの技が結集することによって、多様な部材の組み合わせや仕上げ方が可能なるので

今の住まいは、自然を取り込みながら暮らすことが少なくなりました。近年、自然の風や温かさを使いながらの家づくり、暮らしが見直されているのには、やっぱり、木をはじめとした自然素材が、日本の気候風土に適し、快適に暮らせることに気づいてきたからです。


木の種類にはどんなものがあるのか

木といっても、いろいろな種類があります。木の種類について木をどう選んで、どう使うかは、木の家を建てるためにとても大切なことです。れでは日本の主な木材をあげてみましょう。

ヒノキ・・日本を代表する高級木材。寺社建築、ヒノキ風呂になど代表されます。強度が高く、耐水性、耐久性、耐朽性も高い。狂いも少ないため構造材に適している。深い香りに癒されます。バランスの取れた良材です

スギ・・・まっすぐ伸びる「直ぐ」から名付けられた木材価格も手ごろでどんな場所にも使いやすい。見た目が美しく、肌触りも柔らかいので、赤ちゃんがハイハイしても大丈夫。

ケヤキ・・昔から柱、梁として家の大黒柱としてきた木。強度、耐朽性とも高く、寿命が長い。

パイン(マツ)・・世界中に多くの種類があり、日本だけでもアカマツ、クロマツ、カラマツ、エゾマツなど。北欧テイストの家で好まれる程よい軟らかさが心地よい。

クリ・・はっきりとした木目が特徴。堅く、キズが目立ちにくい。水回りに最適。

ヒバ・・精油成分で防虫、抗菌効果がある。

モミ・・クリスマスツリーの木として知られている。強度が高く、摩耗やキズにも強い。黄色の上品な木目

サワラ・・すっきりとした木目と適度の軟らかさが特徴。湿気に強く、耐朽性に優れている。

オーク(ナラ)・・ウィスキーの樽に使われてきたもので、高い耐久性と耐水性があります。

ウォールナット・・マホガニー、チークに並ぶ世界3大銘木のひとつ。濃い色合いでシックな雰囲気を演出する。高級感があり、堅くて耐水性にも優れている。

 木は育った場所の近くで使うのが、木にとってよい環境だといわれます。木が長持ちするといます。ただ木はとても多くの種類があり、選択肢は数限りなくあります。どこにどんな材を選ぶかは、やはり特性を知り、適材適所で選ぶことなります

 例えば、床に使われる木は大きく2種類に分けられます。ひとつは温かさを得られる材。空気を多く含む針葉樹。とくにスギやサワラ。これらの材は、軟らかく肌触りがよくうえ、空気を多く含むので温かいのが特徴です。反面、軟らかいのでキズがつきやすい材でもあります。もう1種類はキズがつきにくい硬い材。クリやナラ、カエデは空気が少ないため、温かさはありませんが、キズつよい。椅子で過ごすリビングに向いている木です。その性質をいかして考えると、廊下やリビングは、スギやサワラ、キッチンや子供部屋はケヤキ、ナラ、カエデが向いているということになります

また、同じ木でも、製材の方法や、木のどの部分を使うかによってずいぶんと雰囲気が変わります。たとえば、木目が平行に並ぶ柾目と、木目が渦を巻いたように見える板目。木の中心部を使った心赤身と、皮に近い部分を製材した辺材白太などがあります。また、斑点のように見える「節」の数によっても、値段や仕上がりに違いが生まれます。さらに、天然オイルや蜜蝋ワックスなどを塗ることによっても印象はガラリと変わります。


無垢材でいい家を建てよう

無垢材とは、製材されたままの単一材質でできており、文字通り混じり気のない材料のことです。

例えば、天然の丸太をそのまま切り出して、床材の形に加工したものを無垢の床材といいます。肌触りがよく、部屋の湿度によって水分を吸収、放出し、室内の湿度を一定に保ってくれます。つまり天然の木を使った木材木が持つ調湿性や脱臭性、遠赤外線効果によって、夏涼しく冬暖かい、一年を通して快適な住まいが実現します。住む人にやさしく、家も長持ちする材料で

体にも心にも心地よさをもたらしてくれる無垢材ですが、自然素材ならではの特徴を生かし、長付き合って暮らしていくためには、無垢材が持つクセや性質を知っておく必要があります

 そもそもは、人間と同じで一本一本個性があり色や形、硬さや節の数だけでなく、製材したあとも、反ったり、曲がったり、ねじれたりと、「狂い」が出てくることがよくあります。無垢材は、接着剤で固められた集成材と違い、呼吸をしています。このため、温度や湿度などによって伸縮を繰り返します。夏の湿気を吸って膨張したり、冬の乾燥によって収縮もします。空気の乾燥によって縮んだり、反ったり、冬になるとフローリングに隙間ができたりするときがあります。ただ無垢材に多少の狂いが出るのは、木が生きている証拠。それは無垢材の個性あって、生きた木と一緒に暮らすという意識と余裕をって、自然素材の家を楽しむことが必要になります


おわりに

昨年の政府が発表した住宅着工統計調査によると、新築住宅着工戸数は全国288738(前年比1.9%増)新潟県は6840(前年比6.6%)。毎年、実に多くの方々が、マイホームの購入を決断されていることになります。また、持ち家率の県別ランキングをみると、上位は富山、福井など北陸の近県で占められています。新潟県は全国第6位。この上位に占める2県、富山、福井県は全国幸福度ランキングでも上位になっています。つまり、持ち家率の高さが幸福度の高さに比例しているといえるでしょう。これらの統計的なデータから、ライフスタイルや働き方、生き方が多様化している時代の中でも、住まいに関しては、自分のマイホームを持ちたい、作りたいという願望は、昔と変わらず根強い人気があることをわかります。どんなに時代が経っても人の営みの基盤である家は、私たちの暮らしや人生を支える幸せな場所であることに変わることはありません。

持ち家県別ランキング2019

順位

県名

持ち家率

1

秋田

77.3

2

富山

76.8

3

福井

74.9

3

山形

74.9

5

岐阜

74.3

6

新潟

74

全国平均

61.2

家を建てることは、人生においてとても素晴らしい経験となります。最初は、わかないことが多くて、とても不安になると思います。どうぞ、勉強会や見学会に足を運んでみてください。完成見学会で仕上がりを確認したりすることは、自然素材を使った家での暮らし具体的にイメージできる絶好の機会となりますそこで浮かんだ疑問や質問があったら遠慮なくお声かけください。私共懇切、丁寧にお手伝い致します。

30年後、50年後に、年齢とともに重ねた自然素材の経年美を見ながら、「この家を作って本当によかった」と家族と笑顔で語り合う、そんな日がくることを願っています。

<参考文献>

「失敗しない家づくりの法則 3000棟取材した住宅ライターが明かすホントのこと」(シャスタインターナショナル)2020年5月刊 木村大作著
「いい家は無垢の木と漆喰で建てる」(ダイヤモンド社)2009年4月刊 神崎隆洋著
マンガでわかる!ハウスメーカー選びのツボ」(廣済堂出版)2019年10月刊 市村崇著 市村博
・「感動と癒しの「木の家」に住みたい」(日本実業出版)2005年6月刊 中野博著
・「新「いい家」が欲しい。」(創英社)2015年12月刊 松井修著

2回目の開催です

昨年の暮れに初めて開催し大盛況だった、弊社の家を建てた
お客様による「オーナーズセミナー」。
バスツアーと同時開催のイベントでしたが、セミナーだけを
聞きに来るお客様もいらっしゃるほどでした。
そのオーナーズセミナーが今年も3/26に開催されます。

今回もお施主様の実際に住んでいるお宅を訪問する見学会を
行った後に開催となっております。
見学会・オーナーズセミナーのどちらかだけの参加でも結構ですし、
もちろん両方参加することもできます。
予約制となっており、人気のイベントとなりますので、参加希望の
方はお早めにご予約をお願い致します。

モデルハウスの見学希望者が増えています

完成から2年が経とうとしている緑町のモデルハウス。
完成見学会では100組以上のお客様に足を運んでいただき、
多くのお客様に宿泊体験にて実際の住み心地を体験していただきました。

今でも週末や祭日などにイベントで利用しておりますが、ここ最近になって
雑誌やホームページを見た方で「モデルハウスを見学したいのですが」
と連絡をいただくことが以前よりも多くなったように感じます。

数十棟の実績と多くのイベントが実を結び、わいけい住宅の知名度が
上がってきているのではないかと思います。
まだ見学されていない方、再度見学したいという方は事前予約が必要ですが、
弊社までご連絡ください。
0宣言の家の冬の温かさを是非体感してみてください。