はじめに
私たちを取り巻く環境は日々変化をしています。あらゆる分野で画期的な商品やサービスが誕生し、これまでの常識を覆すような革新的な開発や技術が生み出されています。科学などの目覚ましい進歩は、私たちの生活や暮らしを便利で豊かにしていることに疑いはありません。例えば、自動的に掃除をしてくれる掃除機ルンバや超薄型の4K、8Kテレビ、AIが搭載されたロボット、携帯電話やスマートホンにいたっては、毎年新機種が登場し続けています。もはや持っていない人を探すほうが困難なほどです。私たちはこれらの商品の利便性を享受する一方で、家の中には溢れんばかりの電化製品が並び、居住空間にはコードや配線が所狭しと張り巡られていることを忘れてはなりません。また、外を見渡せば、送電線や携帯電話の電波塔などが、あっという間に、住宅周辺の空き地に建てられているような状況です。私たちは、いつの間にか多くの電磁波の中で暮らすようになっているのです。それによって健康影響を始め、様々な問題が起こっています。
電磁波とは何か
電磁波とは空間を走る電磁気の波のことです。電磁波の「雷」とは電気のことで、その電気が空間に放たれたものが電波です。しかし、電気や電波には、その影響が及ぶ領域があります。炎に手を近づけていくと、熱を感じる領域があるように、電気や電波にも影響が及ぶ範囲があります。この領域を「雷場」といいます。また電磁波の「磁」とは、磁気あるいは磁場を意味します。磁石が鉄を引き寄せる際に働く吸引力が「磁気」で、磁気が及ぶ範囲のことを「磁場」といいます。電流が流れると、その周りには「雷場」と「磁場」が発生します。電磁波とは、電気によって生じる「雷場」と「磁場」を伴った波のことなのです。
生活環境における電磁波 (雷場)と(磁場)
日常生活を思い浮かべてみましょう。居住空間のなかで、ラジオ波やテレビ波、携帯電話に使われるマイクロ波のような電波が空間を走っています。ちなみに送電線や電気コードは動線内を通る電気を電流といい電磁波とは区別されます。しかし、電流がコードを流れる時に、コードから電磁波が空間に漏れてでてくることがあります。生活環境において、様々な電化製品の多くは、スウェーデン基準といわれる安全基準の、25v/m の電磁波(電場)を超え、 数百v/m が発生している場合が多いようです。
雷場・・電圧がかかることで発生し、ブレーカーを切らない限り、家中の全ての屋内配線から発生します。常に電圧がかかっている屋内配線から、半径70cm 360度方向に発生し、天井配線においては、 半径70cm超える距離にて居住している場合が多く、影響が少ないと思われますが、 壁内にある屋内配線の場合は、壁面に接してベット、机を配置する場合が多く、 電磁波の電場の影響が大きいと考えます。
磁場・・電流が流れて初めて発生し、コンセントに家電製品の電源プラグを差し、電源スイッチを入れることで発生します。しかし、 屋内配線では、その1本1本の配線に流れる電流の量に限りがあるため「磁場」はほとんど発生しないと思われます。
電磁波の種類
波長がとても短くパワーがあるガンマ線やエックス線は、物質の原子から電子をはがすほど強力なので電離放射線といい、それよりも波長が長い電磁波は電離作用がないので非電離放射線といいます。
図1.電磁波の種類
電磁波=放射線 電離放射線 x線
ガンマ線
紫外線の一部
光の仲間 赤外線
非電離放射線 可視光線
紫外線大部分
電波 静電磁波 サブミリ波
極低周波 マイクロ波
中間周波
高周波 テレビ波 ラジオ波
さらに詳しくみると、電磁波は、周波数が低い(波長が長い)方から順に、「静電磁波」「超低周波電磁波」
「中間周波電磁波」「高周波電磁波」に分けられます。 電磁波の性質は「周波数」と「波長」によって異なります。その性質の違いによって、いくつかの種類に分類されます。「周波数」とは、電磁波の強さが1秒間に何回変化を繰り返すかを表すもので、「ヘルツ(Hz)」という単位が用いられます。「波長」とは、電磁波の波の間隔を表すもので、「メートル(m)」が用いられます。電磁波の周波数が低いほど波長は長く、周波数が高いほど波長は短くなります。電磁波には、周波数が低い(波長が長い)方から順に、静電磁波、超低周波電磁波、中間周波電磁波、高周波電磁波があります。
静電磁波・・周波数が0Hz、つまり強さが変化しない電磁波を指します。静電磁波は「直流電磁波」と呼ばれることもあります。これは、鉄道や医療用磁気共鳴画像撮影装置(MRI3)などに用いられています。地磁気や永久磁石の磁界もこれに含まれます。
超低周波電磁波・・周波数が0Hzより大きく、300Hzまでの電磁波を指します。超低周波電磁波には、家電製品や、送電線・変電所などの電力設備に用いられる50Hz及び60Hzで、商用周波電磁波とも呼ばれます。
中間周波電磁波・・周波数が300Hz~10,000,000Hz(10MHz)の電磁波を指します。「IF5電磁界」と呼ばれることもあります。中間周波電磁界は、電磁誘導加熱式(IH6)調理器、電子タグ(RFID7機器、無線タグ、ICタグなどとも呼ばれます)、電子商品監視装置(EAS8機器、万引防止監視システム、盗難防止装置などとも呼ばれます)、AMラジオ放送などに用いられています。新しい応用技術として、電気自動車の非接触充電にも用いられています。
高周波電磁波・・周波数が10,000,000Hz(10MHz)~300,000,000,000Hz(300GHz)の電磁波を指します。「無線周波電磁波」や「RF9電磁波」、「電波」10と呼ばれることもあります。高周波電磁波の中で、波長が短い領域の電磁波は「マイクロ波」とも呼ばれます。高周波電磁波は、TVやFMラジオ放送、携帯電話などの無線通信や、電子レンジなどに用いられています。高周波電磁波については、発生源からの距離が遠い領域と、これよりも近い領域で性質が大きく異なるため、異なる尺度を用いて強度を表しています。
以下の図は、電磁波の周波数、波長及び主な発生源の分類を示しています。 電磁波(界)の分類名称周波数波長主な発生源として、(例)静電磁波(界) 地磁気、磁気共鳴画像撮影装置(MRI)、鉄道超低周波電磁波 0Hz~300Hz 1000km~家電製品、電力設備(50Hz、60Hz)鉄道電子商品監視装置(200Hz~14kHz)中間周波電磁波(界) 300Hz~10MHz 30m~1000km IH調理器(20~90kHz)電子商品監視装置(200Hz~14kHz、22~37.5kHz、58kHz、1.8~8.2MHz)電子タグ(135kHz以下)放送局・通信設備(数百kHz~)高周波電磁波(界) 10MHz~300GHz 1mm~30m 非接触ICカード(13.56MHz)電子タグ(13.56Hz、300MHz、920MHz、950MHz、2.45GHz)医用テレメータ(400MHz)携帯電話、基地局(700MHz~数GHz)無線機器(~数十GHz)通信設備(~数十GHz)放送局(~数百MHz)電子レンジ(2.45GHz)電子商品監視装置(2.45GHz)など
国際的なガイドラインとは
非常に強い電磁波を人体がばく露すると、健康影響が生じる恐れがあります。この健康影響から人体を防護するため、どのようにばく露を制限したら良いかを示すのが、ガイドライン(防護指針)です。電磁波の物理的な性質は科学的に十分に理解されており、人体への作用についても、長年の研究から多くのデータが蓄積されています。ガイドラインは、このような確立された科学的知識を基に作られています。最も広く利用されているのは、WHOが正式に認知している非政府機関である国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)のガイドラインです。ICNIRPガイドラインは、刺激作用や熱作用により健康影響を生じることがわかっているばく露レベルに対して必要に応じて安全上の余裕を盛り込んで、指針値を制定しています。ICNIRPガイドラインは、欧州連合(EU)理事会がEU加盟各国向けの勧告に採用しているのをはじめ、アジア、オセアニア、アフリカ、中南米など、世界中の約150ヵ国で採用が進んでいます。日本では、送電線などの電力設備や、携帯電話基地局などの無線設備、携帯電話などの無線機器について、それぞれの周波数に対するICNIRPガイドラインの指針値と同等の規制が実施されています。
どんな家電製品から電磁波が多く発生しているのか
パソコンやホットカーペットは、使用時間が長く、かつ身体に直に触れるものが私たちにとってより影響が大きく、注意が必要な家電と言えます。さらに最近「オール電化住宅」を謳い文句に、電気床暖房、電気風呂、システムキッチンには「IHクッキングヒーター」を組み入れています。IHクッキングヒーターは火を使わない調理機器で、安全性をセールス ポイントにしていますが、家電製品の中で最も強力な電磁波(磁場)を発生させる機器です。この電磁調理器のしくみは、コイルに強い電流を流して磁力線を発生させると鍋の金属に誘導電流が生じます。この誘導電流は鍋素材の電気抵抗を受け、熱を発生させます。そのためスイッチをONにして金属製の調理台に触れても熱く感じません。この調理器からは強力な変動磁場が発生し周囲に放射されます。調理台の中心部からは2,000mG(ミリガウス)以上もの磁場が放射されます。1~2mGが安全の目安とされるのに、長時間 台所で磁場に被曝する主婦の健康を考えると、きわめて危険な調理機器です。
家電製品各種からは、電源に用いられる50Hzまたは60Hzの超低周波磁波の他、電磁誘導加熱式(IH)調理器など製品によっては数kHz~数十kHzの中間周波磁波、インバータやモータを用いる製品からは各種の中間周波磁波及び高周波電磁波が生じています。これについては、測定法がICNRPガイドラインで定められています。この方法での測定の例では、国際ガイドラインに対する磁界の強さ(磁束密度)の比率は、IH炊飯器では最大5%(測定距離30cm)、IH調理器では最大3%(同30cm)、シェーバーでは最大6%(同0cm)、電気カーペットでは最大13%(同0cm)、電気毛布では最大4%(同0cm)、電気マッサージ器では最大68%(同
0cm)、温水洗浄便座では最大18%(同0cm)、電動歯ブラシと充電器では最大46%(同0cm)、各種の蛍光灯及びLED照明器具については測定下限値である0.2%未満(同30cm)と報告されています。図には、主な家電製品からの電磁波の強さの国際的なガイドラインに対する比率の例を示します。
携帯電話の危険性
携帯電話が通信に利用する電磁波は、高周波に属するマイクロ波に低周波を混ぜて変調させたもので、800メガメルツから2.0ギガヘルツの周波数で使われています。携帯電話で通話する際は、携帯電話機の最寄りの携帯電話基地局へ信号が送られ、その後、通話やメールができるようになります。携帯電話基地局は、それぞれ送受信を担当する区域をもち、市街地では一基当たり半径数百メートル、郊外では数キロメートルの範囲をカバーします。市街地には、NTTドコモ、ソフトバンク、auなど各通信会社がそれぞれの基地局やアンテナがほぼ500メートル置きに設置をしているので、どこにいってもアンテナだらけで、携帯電話電磁波の無い場所はありません。基地局の住民は否応なく24時間、携帯電話電磁波に被爆させられます。さらに基地局は、無線設備を動かすために数千~数万ワットの電力を使うので、周囲では強い低周波磁場が発生し、周辺住民はマイクロ波だけではなく、超低周波にも被爆することになります。
脳には、有害物質の侵入を排除し、必要な栄養素や酸素だけを通す血液脳関門という組織があります。携帯電話の基準値の1万分の1以下の電磁波に曝しただけで、血液脳関門の機能低下し、有害物質が脳内に侵入することが、スウェーデンで行われた実験でわかりました。血液脳関門の機能低下が続くと、破壊される神経細胞が増えることも確認されています。また、携帯電話を通話中の状態にして30秒間耳に当てただけで、目の奥の血流が4分の1以下に減少する、という報告もあります。脳への血流が減少するということは、脳の神経細胞に必要なブドウ糖やミネラルなどの栄養素や酸素の供給量も減っているということです。このような状態が長期間続くと脳梗塞のような状態が起きると指摘されています。またラット実験では、電磁波を被爆させると、記憶力や方向感覚の低下も報告されています。また、脳内ホルモンを分泌する松果体が影響を受け、睡眠や免疫、生殖にかかわるメラトニンというホルモンが減少します。また、神経伝達物質であるカルシウムが細胞から流出し、細胞の機能や成長に異常が起きます。DNAを傷つけて染色体異常を起こしてガンの原因になるという報告もあります。マイクロ波などの高周波電磁波に被爆する職業や地域では、白血病や小児ガンなどの発症率が非常に高いこともわかっています。
携帯電話基地局周辺の住民に起きる健康影響 |
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携帯基地局からの距離 |
症状 |
10m以内 |
吐き気、食欲不振、視覚障害 |
100m以内 |
怒りっぽい、うつ症状、性欲減退、めまい |
200m以内 |
頭痛、睡眠障害、不快感 |
200~300m以内 |
疲労感 |
そういった携帯電話の人体に与える影響から、世界の国では、特に、まだ身体の発育が未熟な子どもへの影響を懸念して、子どもに対する携帯電話の規制や勧告などが行われています。しかし、日本では小さな子や小学生に携帯電話を持たせるのも珍しくありません。
各国の子供に対する携帯電話の規制、勧告、要請一覧
ロシア 16歳以下の子供は携帯電話を使うべきではない。
イギリス 8歳未満の子供には携帯電話を使わせないように。
フランス 12歳未満の子供用携帯電話の全ての広告を禁止。
オーストラリア 10歳未満の子供を販売対象にしない。
カナダ 8歳以下の子供たちには固定電話を。
アイルランド 16歳以下の子供には携帯電話を使用させないように。
インド 16歳未満の子供の携帯電話使用、販売禁止。
オーストリア クリスマスプレゼントに携帯電話はやめよう。
ベルギー 7歳以下の子供への携帯電話の販売は、店頭でもインターネットでも禁止。
日本 小中学校への持ち込みは原則禁止。中学校では一部解禁のところもでてくる。
屋内配線から発生する電磁波
床下や壁の内側を通る屋内配線からは、電磁波が発生しています。電化製品の場合、電磁波はコンセントに差し込んでいるときしか発生しませんが、屋内配線の場合は一日中ずっと発生し続けています。家にいる限り、電磁波に囲まれている状況になりかねないのが、現代の住まい。屋内配線はブレーカーを落とさない限り常に
電圧がかかっているため、配線が重なった場所は、特に強い電磁波が発生しています。
外部環境からの電磁波影響
外部環境には、電力会社の地下送電線や変電所、NTT、NHK、放送局、建設省の緊急避難用電波塔、そして携帯電話会社など電波塔があります。日本のように、狭い土地に人口が密集し、電力使用量や携帯電話の普及台数が世界でも高い率を誇る国では、所構わず高圧線鉄塔や電波中継塔が乱立しています。高圧線や電波塔の真下や周辺に民家が密集したりするのは日本だけです。
高圧送電線鉄塔や電波塔の建設による、健康被害や健康不安に対する地域住民の建設反対や撤去の運動が全国的に拡大しています。これらの鉄塔からは、人体に有害な電磁波が放出されており、欧米では十年以上も前から 電磁波の人体に与える影響を疫学調査し、住宅・保育所・幼稚園・学校・子どもの遊び場・オフイス等の建設に厳しい規制をしています。近くに鉄塔が無くても、窓を開けると目の前に高圧送電線が通っている場合や地下1.5~2mに埋設された地下送電線近くに居住している場合には、鉄塔付近に居住する以上の電磁波被曝を受けています。日本では電磁波規制がなく、それどころか逆に電力業界と電機メーカーは家庭用電圧を現在の100ボルトから200ボルト級、400ボルト級まで引き上げることを計画し、15年ほどかけて実現を目指す方針です。すでに通常の家庭用電圧(100ボルト)の倍で動く「200ボルト家電」が家庭に浸透し始めました。洗濯乾燥機やクッキングIHヒーター、エアコンなど「ハイパワー」を売り文句とした家電製品が普及しています。発電所でつくられた高圧の電気は最終的には自宅近くの変圧器で200ボルト及び100ボルトにされて家庭に送り込まれています。すでに分電盤が100ボルトと200ボルトの両方に対応できるタイプになっている住宅は多く、コンセントまでの配線工事さえすれば200ボルト家電が使えます。電力業界が提言している、電柱までを2万2000ボルトまで増やし家庭へも200ボルト級や 400ボルト級で届くように求めている高電圧構想が、我々の知らない間に実行されています。「ハイパワー」家電は健康への「ハイリスク」をもたらします。ちなみに世界の電圧はEUが220ボルト、米国 120ボルト、カナダ 110ボルトです。狭い日本の住宅で200ボルト級、400ボルト級にする必要性と健康への影響を考えると極めて危険であると言わざるを得ません。
携帯電話の基地局の危険性
電波によって、携帯電話、スマートホンで通話できるのは、携帯電話の端末と携帯基地局が電波で結ばれるからにほかなりません。ただ、電波による光信で欠くことのできないのがアンテナです。発せられた電波は、
アンテナで受け止められます。携帯電話の普及と、初期の圏外の改善には、基地局設置が伴っており、全国どこでもほぼ通話が良好となった背景にはこの基地局の過剰な乱立があります。そのことによって、近隣住民の健康影響が報告されています。
事例として、
神奈川県横浜市
横浜駅からJR根岸線で約20分。洋光台駅と港南台駅のほぼ中間に広がる丘陵地帯周辺でガンや白血病で死亡している人が多発しており、数年でガンで死亡する人が増え40~50才が多いという。丘陵地帯から1.5キロほどの住宅に住む主婦が乳ガンになり、隣の奥さんも乳ガンで亡くなり、斜め向かいの奥さんは白血病で、その隣の奥さんは膠原病で、さらにお医者さんが肝臓ガンで亡くなり 奥さんも乳ガンで手術をしたというように辺り一帯、進行ガンで亡くなる人が多発しているといいます。
これは、丘陵の尾根沿いに、海上保安庁、NTT、NHK、FM放送局、建設省の緊急避難用電波塔、携帯電話会社など6基の各種電波塔が住宅地を睨むように乱立しており、さらに住宅地の真上には15万7千ボルトの高圧線も通っておりマイクロ波と低周波の複合電磁波による影響と考えられます。
ガン患者の異常多発は、6基の電波塔から、西側1キロほどの所に位置する 団地でも同様にガンで亡くなっている人は、男女を問わず、圧倒的に多く、住宅地内の多くの住民が、ガンの多発と電波塔から発せられる電磁波の関係を疑い始め、NTTドコモが建設予定の7基目の巨大鉄塔(無線中継塔)の建設反対に3千人の住民が反対署名を横浜市に提出し、郵政省、県、建設省などにも電磁波の危険性を訴え、鉄塔建設計画の中止を要望したといいます。
②徳島県三好郡
携帯基地局からの無線電波による被害の例としては、徳島県三好郡で基地局が建設されて1ヶ月位でミツバチが40箱死滅したり、池の鯉が死滅するという現象が現われ、6ヶ月後には地域住民の体調にもさまざまな症状(差し込むような頭痛、血圧上昇、脈拍上昇、うつ状態、目の異常、フラフラして歩きにくい、卒倒、体重減少等)が現われ、住民のうち7名が血中セロトニン濃度を測定したところ、7名ともに0.01マイクログラム以下で正常値(0.04マイクログラム) の4分の1以下で「電磁波過敏症の疑い有り」と診断されました。 これらの症状や検査結果は欧米で報告されている電磁波障害と一致しており、 米国カリフォルニア州マリン郡のレーダー基地周辺は乳がん発生率が世界一で、この電波塔からの電磁波による影響が、三好郡のケースとあまりにも酷似しています。
電磁波が人体に及ぼす影響
慢性疲労性症候群・・パソコンや携帯電話の普及により、現代の慢性疲労性症候群患者の95%は、 電磁波過 敏症によるものだという報告があります。
アトピー・アレルギー・・電磁波は静電気も発生させ、静電気により、浮遊粉じんが集まり、 皮膚が反応してしまう場合があります。
電磁波過敏症
身近にある掃除機や洗濯機、ドライヤーなどの家電製品を使うと超低周波電磁波が発生します。また携帯電話を使えばマイクロ波に被曝することになります。電磁波過敏症とは、これらの電磁波に被曝すると、めまいや頭痛、吐き気、不眠などの症状が起きる病気です。スウェーデンやドイツ、デンマークなど、ヨーロッパ諸国では社会的に認知されつつあり、 健康保険の対象として治療が進められています。また、化学物質過敏症の併発も懸念 されています。化学物質過敏症とは、微量な化学物質にさらされることで、頭痛や吐き気、倦怠感などさまざまな症状が現れる病気です。例えば、シックハウス症候群です。防蟻剤や接着剤、塗料などから発生する軍発性有機化合物(VOC)によってダメージを受け、住人に皮膚のかゆみ、粘膜の刺激や乾燥などの症状が現れること。
発症をきっかけに、多様な化学物質過敏症に反応する多種化学物質過敏症になるケースもあります。電磁波過敏症は、化学物質過敏性との併発率は42%。症状は、日焼けのような炎症、頭痛、吐き気、筋肉痛、頻脈など多岐 に渡ります。人によって症状が違う上に、症状の重さもさまざまで、症状が一つしかない患者もいれば、複数の症状に苦しむ患者もいます。調査した団体によると、女性が8割を占め、男女とも30〜50代の患者が多いようです。
電磁波による健康被害は、いわゆる「医者が治せない病気」であり、こうした事例が報告されていることは、否定できない事実です。電気が増えたことによる副作用としての、こういった健康影響は、住環境における電磁波と外部における周辺の電磁波が原因なのです。「便利さ」という電気の恩恵でありながら、言い換えれば、電磁波とは「便利さの代償」なのです。
日本は世界一電磁波が強い国
電磁波の磁場強度は、ミリガウス(mG)という単位を用いますが英国、米国と比較しても日本の住宅環境がいかに危険な状況に置かれているかが以下でわかります。
英国: 2mG以上の地域の人口 0.5%以下
米国: 5mG以上の地域の人口 5.0%以下
日本:50mG以上の地域でも人口が密集している。
電磁波は、全ての電化製品から有害といわれる数値の数倍~数十倍漏洩していますが、電磁波は対象物から一定の距離を置くと極端に減衰します。しかしながら送電線や電波塔からの電磁波は眠っている間も容赦無く広範囲に漏洩し、全身被曝から逃れることは不可能です。
また日本家屋、特に木造の住宅から強い電磁波が出ていることが長年の測定でわかりました。つまり、日本の住宅は世界でもトップレベルで電磁波の影響を受けやすい住宅になっているということです。世界の水準は安全性を確保にしているのに、日本だけが問題であるとはいったいどういうことでしょうか。
4つの問題点
1.アースなしコンセントおよびアースなし家電問題
2.多量の電流問題
3.多量の電気使用量と配線過剰と位置問題
4.長時間接触の電気機器問題
少ないアース付きのコンセントおよび家電問題
まずひとつめは、日本の電圧は100ボルトで欧米とは電圧が異なりアースを取らないのが日本の標準です。欧米では20の電圧でアース処理されています。同じ製品を電気で動かす時に100ボルトと200ボルトでは消費する電力が倍違います。日本はアースを取らないので圧倒的に電場、磁場の影響が大きくなります。アース付きコンセントやアース付き家電が少ないため電場が多く出た状態で使われることになります。法律の制限がないという理由も電磁波の強い住宅ができあがってしまっている要因です。日本の住宅の電圧は100Vが中心です。ヨーロッパや中国など200V以上としている国では、感電死の危険を避けるためにコンセントにはアースが付いています。日本の場合、電圧が100Vと低く、万一感電しても死ぬ危険が低いために、アースが義務付けされなかったと思われます。
また、アメリカやカナダのように電圧が120V近くと低い電圧の国は他にもありますが、これらの国は訴訟社会のため、訴えられる危険を減らすために最初からアース付きの住宅とするようです(仮に電気火災が起きた場合、アースなしの住宅であれば火災保険料が下りないと聞いたことがあり、このようなリスクを減らすためと思われます)。結果として日本のみアース付きコンセントが普及せず、電場の高い住宅を作る結果となっています。
多量の電流問題
日本の住宅の電圧は100Vと低い設定になっています。このために流れる電流は逆に多くなります。それはこのような仕組みのためです。
消費電力(W:ワット)=電圧(V:ボルト)× 電流(A:アンペア)
消費電力は使う家電などの器具によって決まっています。例えば同じ1000Wの消費電力の器具を使ったとして
も、電圧が100Vの日本と250Vの国では、流れる電流が大きく異なります。
日本 1000W=100V×10A
海外 1000W=250V×4A
同じ消費電力の器具でも、電圧が低い分流れる電流の量が多くなるわけです。その結果、磁場が大きくなります。電場は電圧が高いところで高くなりますが、磁場は電流の流れる量が多いところで強くなります。日本は電圧が低いため、流れる電流が多くなり、その結果磁場が強くなります。
多量の電気使用量と配線過剰と位置問題
電気使用量が多く、配線が多く、さらにその位置が悪いため電磁波の影響を受けやすくなっています。日本の住宅はアースがないという理由で電場が、電流の流れる量が多いという理由で磁場が強くなりがちです。これらの理由に加え、日本の住宅は電気配線が長く、家全体に張り巡らされていることがさらに問題を大きくしています。
電気製品の数が多いため、部屋の至る所にコンセントがあります。当然そのコンセントまで電気配線が引かれているため、壁の中や床の下を数多くの電気配線が通っています。電気配線の長さは35坪の一戸建てで950mにもなると言われています。家によっては、1Kmもの長さの電気配線に囲まれているケースもあるといいます。これは電気製品の数の多さに加え、照明の多さも影響していると思われます。海外の家で、そもそも天井に照明が無い家があったりするように、部屋の照明はスタンドだけで、天井には照明を付けないという国があるようです。それに比べると日本の住宅は天井に照明がないというケースはあまりありません。1階の天井に照明があるということは、2階の床下に電気配線が通っているということになります。最近の住宅では天井高を高くとるために、1階の天井と2階の床の間を薄くし、1階の天井高を稼ぐケースもよくあります。その場合、狭いスペースに配線が押し込まれるため、2階の床材と電気配線との隙間があまり取れません。そのため、2階の床の電磁波、特に電場が強くなることがよくあります。
幹線の位置によって強い磁場を住んでいる人に与えることがあります。普通の床上は問題が無くても、幹線の上の床は磁場や電場が高いことがあります。さらにその配線の位置です。通常のコンセントにつながっている電気配線はまだしも、外からの電気引込線から家の分電盤までつながっている幹線は大きな電流が流れています。そのためその幹線の近くには大きな磁場が発生します。これが寝室や子供部屋から遠ければ問題になりにくいですが、寝ている頭のすぐ近くを通るようですと問題です。ですが、実際にこの幹線がどの場所を通るかはほとんど把握していません。設計図書を見ても、正しく電気配線の位置を示しているものもあまり多くありません。電気工事士にお任せしてしまうことが多いからです。電気工事士も工事費や作業日程の問題からなるべく簡単な工事で済ませたいと考え、その結果、悪意は全くないのですが、滞在時間の長い寝室の横や下に幹線を引くことになってしまいます。これらの理由で、電磁波の多い家ができあがっていくことになります。
長時間接触の電気機器問題
さらに日本独自の問題があります。それは長時間接触する家電が多いことです。長時間接触する機器の代表はパソコンで、これは日本だけに限りません。しかし日本ではこれに加え、ホットカーペット、電気毛布、電気こたつ、マッサージチェアなどがあります。また、一部の床暖房でも電磁波が強いものがあります。この電気毛布の電場は510V/mでした。基準の25V/mから見れば20倍以上です。これらの機器は電磁波が強いだけでなく、長時間人の体に触れているため、大きな問題となることがあります。こたつはもちろん日本独自のものですが、電気毛布やホットカーペットもあまり海外では見られません。これらの商品は使用していて大変気持ちの良いものですが、電磁波ということを考えると体に良いものではありません。
電磁波対策住宅とは
電磁波対策住宅とは、建物から発生する電磁波をシャッアウトした住宅のことです。家にあるパソコンや携帯電話から電磁波が出ていることはもちろんのこと、もうひとつ電磁波の発生源があります。それは「家」そのものからです。しかも、昔の家よりも新しい家のほうが、電磁波が強くなっているのです。
一般家庭の電気の消費量は1軒あたり、わずか50年で10倍以上になりました。電気をたくさん使うために、建物も変化しています。建物の内部には、外の電柱から各部屋へ電気を運ぶための屋内配線が通っていますし、家電製品のプラグをコンセントに差し込む電気は、このコンセントの先(壁の内側)から配線を通しています。 屋内配線は室内の壁のなかを縦横無尽に張り巡らされています。住宅新築時にはコンセント設置数と照明器具設置数の増加に伴い新築住宅1軒あたりの電気配線総長さが30年前に比べて平均6倍と言われています。さらに上述した通り、コードの長さをみると、今はなんと1Km以上、昔の約7倍の量のコードが使われているのです。
電磁波対策 身を守る方法
もっとも簡単な電磁波対策は、対象物から離れることです。電場を測定すると、対象物からの影響に比例して数値が下がります。テレビは通常数十メートル離れて見るものですし、電子レンジや冷蔵庫も常に近くにいるわけではありません。ですから、パソコン、携帯電話 スマホなど一部を除くほとんどの家電製品にはこの対策が有効ですし、日常的にこういった家電製品からの電場の影響は少ないと言えるでしょう。ところが、家はどうでしょうか。家の壁や床は、つねに体の一部が接しています。そこから距離をとることは不可能です。
では、離れることが出来ない場合はどうしたらよいのでしょうか。配線や家電からの放電影響を減らす家づくり
ためにまず、電場・磁場の影響を極力最低限に抑える設計施工をお願いしましょう。
新築における施工設計
新築住宅の場合、建築前に電磁波対策として、壁の中に電気配線を通したり、アース線を確保したりできます。新築時は建築後だと見えなくなる場所に施工可能だからです。建築後、施工しようとすると壁を壊することになり、多額の費用が必要となります。新築建築時であれば少額費用で効果の高い施工を計画することが可能です。例えば、電磁波遮断シートで施工してもらったり、電気配線位置を部屋外に集約、家電を使う各所のコンセントをアース付きコンセントしたりできます。費用面からみても格安な電磁波対策になります。こうすることで、電気を地面に逃がす事が出来るようになるので、感電・落雷被害・ノイズ・電磁波・通信障害などを防ぐ事ができます。また家具配置なども考えて、コンセント計画は綿密にして余分なコンセントを無くす事も重要です。また電柱から家への電気線引き込み口を配慮したり、電磁波測定器を使って数値を測定して配置等を考えるようにしてもらいましょう。
住宅周辺の確認
現在の住まいもしくはこれから家を建てる地域には、放送局、携帯電話会社など各種電波塔や電圧線などがないかを確かめることが不可欠です。また携帯電話の電波塔はいまなお乱発され、地域住民の反対運動が起こっているところもあります。そういった建設予定地が周辺にあるのかも念のため、調べておきたいところです。そして、実際に該当する地域だった場合は、十分な検討と対策が必要になります。
また、電車が通過する線路沿いはこの危ない地域に該当するのかということについては、最初の図の通り、鉄道の電磁波は、静電磁波~中間周波電磁波での水準であり、安全です。ただ、この幅は、鉄道といっても、電線、電子監視装置、改札など、家電製品がそれぞれ違うように、設置されている装置や部品、車種が様々あることによって、それぞれ違いがあり測定が困難になっています。絶対安全とは言い切れませんが、ただ、最新の試行運転中の超電導のリニアモーターカーは、国際的なガイドライン(ICNIRPガイドライン)で定められた基準値以下のもとに、さまざまな対策を施し、磁界を管理しているため健康への影響はないとしています。基準値は人体への影響が生じる可能性のあるとされている磁界レベルの1/5~1/10程度の厳しい数値に設定されています。(下記図参照)電車や周辺への影響について、関係各社は多大な配慮を行なっていることに間違いありません。ただ線路沿いの場合は、電磁波の他、騒音、振動という大きな別の問題も同時に含んでいるため、容易には判断できないところがあります。
リニア沿線での測定結果
車両速度 |
測定箇所 |
最大周波数 |
最大測定値 |
ICNIRP |
0km/h |
線路脇4m |
0Hz |
0.19mT |
400mT |
高架下8m |
0.02mT |
|||
500km/h |
線路脇4m |
6Hz |
0.19mT |
1.22mT |
高架下8m |
0.02mT |
電場をカットするためのアース
もうひとつの対策は「アース」です。地面に打ち込んだ金属棒を通して、電気の逃げ道を作ってあげることを「接地(アース)」と言います。アースは余分な電気を逃がし、感電防止などの役割を果たすためのものですが、実は結果的に発生する電場を抑制します。すなはち、電気と電場をも逃してくれるのです。壁・床・天井に張り巡らされている屋内配線からの電磁波は、様々な部材を伝わって伝播し、身体の表面を覆うのです。電磁波の室内への侵入を防ぐために、アースをする必要があるのです。アースの目的は電気の安全性という視点からも電磁波を避けるためにお部屋のコンセントにアース付コンセントを施設することを推奨します。日本は2口コンセントが主流ですが、欧米のコンセントは3口で、3つ目の穴はアースのためのものです。日本では今のところ、水周りなど一部を除いてアース付コンセントは見られませんが、アースをすることによって家電製品からの電場は簡単に削減することが出来ます。
おわりに
日本の生活環境において電磁波は、身の周りに予想以上に溢れています。しかし、電磁波を目で見ることはできません。「電磁波」と聞いて、「身体にとってよくないもの」という認識を持っている人は多いのですが、その対策らしきことをしている人はほぼいないというのが現状です。人間は、目や耳で感じられないものに意識を向けることが難しくできているようです。住宅を購入したり、転居した後に、これらの悪環境に気が付いても手遅れです。電磁波に対する正しい知識と対策を備えることが「転ばぬ先の杖」となります。
参考
「電磁波・化学物質過敏症対策 増補改訂」大久保貞利著 緑風出版 2018年10月
「電磁波過敏症」加藤やすこ著 緑風出版 2004年11月
「電磁波による健康被害」加藤やすこ著 緑風出版 2015年7月
「ルポ最後の公害、電磁波に苦しむ人々 携帯基地局の放射線」黒数哲哉著 花伝社 2014年12月
電磁界情報センターHP 他
千癒の家(株)わいけい住宅代表の中山です。 家は人生で一番長く家族といる空間です。
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