私は地元密着の工務店に長男として生れました。
大工棟梁だった祖父が創業し、自宅を大工訓練校としていたので、丁稚奉公(でっちぼうこう)の大工さんが住込みで5人~6人いました。私も小さいころは可愛がってもらった記憶があります。弟子には厳しい祖父で、逃げて帰った丁稚さんもいたと聞きました。しかし5年間の修行を耐えて、一人で墨付けから建舞までできるようになると卒業となり、一人前の称号を手に入れ、大工棟梁になります。中山の親父のところで修行した大工が腕がいいともっぱらの評判だったそうです。
その当時の話を聞くと、日本も高度成長期だったこともあり、どんどん家を建てる時代背景があり、大工という職業は花形でした。今では考えられないほど、大工の地位があり、今とは真逆で大工にお客さんが建ててくださいと懇願していたそうです。そして、図面など間取りもほぼお任せで、出来上がってからしかわからないようでした。ちなみに、職人の休憩の茶菓子も指定していたほど。。。。ふた昔の話ではありますが時代を感じますね。
そしてハウスメーカーという大きな時代のムーブメントに押され、腕のいい大工でも営業しないと仕事がとれなくなりました。
昨今のハウスメーカー系の組立式の住宅と違い、今でも工務店は在来軸組工法の住宅を手掛けているところが多いです。大工技術、職人技能がまだまだ必要不可欠なアナログな業界です。新築1棟を建てるのに25社以上の専門業者との合同作業で完成させていきます。
新築をつくるということは、人生の中でもっとも大きなお金を払う買い物になるご家族が大多数です。そのご家族のマイホーム建築に携われることに感謝の気持ちを持ち、チームプレーで期待以上の家を引渡したいと思っています。
また忙しい春になります。
初心を忘れずに、1棟1棟に入魂させていただきます。